ニュースの地図がAIで塗り替えられる――そんな実感、あなたは持っていますか。

マイクロソフトのCopilotは、質問に対して短い要約と出典リンクを示すAIアシスタントです。最近の研究は、その出典選びに偏りがある可能性を指摘しました。

何が見つかったのか

シドニー大学のCentre for AI, Trust and Governanceが実施した調査(研究責任者はティモシー・コスキー博士と報じられています)によると、Copilotがニュース回答で提示するリンクのうち、オーストラリアの媒体が占める割合は約1/5にとどまるとされます。つまり提示される出典の約20%が豪メディアという結果です。

ただし、この結果はGuardianの独占報道をもとにしたもので、サンプル期間や質問の種類など調査方法によって数字は変わり得ます。単一の指標で結論を出すのは早計です。

なぜ豪メディアが少ないのか:考えられる仮説

研究ではいくつかの理由が提示されています。

  • データセットの偏り:学習や参照に使われたデータに豪メディアが少ないと、結果的にリンクも少なくなります。
  • ライセンスや権利関係:配信許諾の有無が取り上げられる媒体を左右します。
  • 英語圏の情報集中:米欧の大手媒体はオンライン上で多く参照されるため優先されやすい、という可能性があります。

これらは因果関係を断定するものではありませんが、仕組みを理解するための有力な手掛かりです。

どんな影響が考えられるのか

AI要約で参照される頻度が低ければ、認知やトラフィック、広告収入に影響が出るかもしれません。地域に根ざした報道が埋もれれば、多様な視点が失われかねません。

とはいえ、影響の度合いは媒体の規模やビジネスモデルにより異なります。小規模な地域紙ほど打撃を受けやすい反面、大手は別ルートでの集客で補える場合もあります。

何ができるか:透明性と対策

研究者やメディア、プラットフォーマーが取りうる対策は見えています。

  • データ出典の開示:どんなソースが使われたかを明らかにする。
  • ライセンス交渉の促進:地域メディアの収益化を支える仕組みを整える。
  • ソース多様化の仕組み:アルゴリズムが偏らないよう設計を改善する。

ユーザー側でも、表示された出典を確認し複数の情報源に当たる習慣が役立ちます。AIは便利ですが、地図の縮尺や書き込みは常にチェックが必要です。

見守るべきポイントと今後の課題

今回の研究は議論の出発点です。別データや別時期での再検証が求められますし、企業側の説明責任も重要です。

短期的には、透明性の改善と多様な出典の採用が焦点になるでしょう。長期的には、地域ジャーナリズムの持続可能性をどうAI時代に組み込むかが問われます。

AIがニュースの地図を書き換える速度は速いです。だからこそ、どの地図を使うか、私たち一人ひとりが問い続ける必要があります。ぜひ出典を確かめて、広い視点でニュースを読み比べてみてください。