地球の「時計」がまた一歩進みました。終末時計は真夜中まで残り85秒に設定され、今の危機感の深さを象徴しています。短い数字ですが、背景には複数の深刻な要因が重なっています。

終末時計とは何か

終末時計は、世界の破滅にどれだけ近いかを象徴的に示す指標です。これはBulletin of the Atomic Scientists(原子科学者協会)が管理しています。彼らは科学者や専門家の評価をもとに、世界情勢のリスクを時刻で表現します。今週は公開デモが行われ、金曜日に初回の掲示があり、火曜日にその結果が公表されました。

なぜ「85秒」なのか

今回の時刻変更の背景には、大きく分けて三つの要素があります。ひとつは気候危機です。猛暑や豪雨、山火事の増加は現実の被害として表れています。ふたつめはAIのリスクです。ここで言うAIのリスクとは、誤用や暴走、偽情報拡散、そして軍事利用の可能性まで含みます。みっつめは主要国間の緊張です。ロシアや中国、米国をめぐる対立やナショナリズムの高まりが、不安定化の火種になっています。

これらは別々の問題に見えますが、重なり合うと火力を増す薪のようなものです。個別には対処できても、連鎖的に影響すると収拾が難しくなります。

科学者たちが伝えたいこと

科学者コミュニティは、この警鐘を単なるショック表現として終わらせたくないと考えています。彼らが求めるのは、警告を受けたうえでの現実的な行動です。例としては、気候対策の強化や排出削減の実行、AIの安全性評価や使途の規制、国際的な透明性と情報共有の促進などが挙げられます。

AIについては、たとえば深刻な誤情報が瞬く間に広がる危険や、自律兵器の導入がもたらす倫理的・安全保障上の問題が懸念されています。気候では、被害の早期警報や適応策の実装が急がれます。どちらも単独ではなく、政策と技術、社会の合意が必要です。

私たちにできること

個人レベルでは、情報に振り回されず冷静に事実を見極める習慣が大切です。投票や消費の選択で持続可能性を支持することも力になります。組織や政府には、科学的知見に基づく政策決定と国際協調が求められます。透明性を高め、共通のルール作りを進めることが、リスクを管理する第一歩です。

終末時計は決定ではありません。むしろ行動への招待状です。時計の針は、人間の選択と努力で動かせます。危機を正しく見つめつつ、希望を持って具体的な対策を進めることが今求められています。