中国のAI競争にまた新しい波が来ています。Alibabaの最新モデルQwen3.5が公開され、研究者や企業の注目を集めているのです。少し立ち止まって、その狙いと意味を一緒に見ていきましょう。

Qwen3.5のポイント

Qwen3.5はオープンウェイト(学習済みモデルの重みを公開すること)として提供されます。公開されることで、企業や研究者は手元で動かして比較検証がしやすくなります。

技術的にはハイブリッドな設計を採用しています。推論時に約170億パラメータを活性化する一方で、計算コストを抑える工夫が施されています。短く言えば「軽く動かせる大規模モデル」を目指した設計です。

なぜオープンウェイト競争が熱くなっているのか

近年、中国のラボは次々とモデルを公開しています。背景には研究開発投資の増加とグローバルな競争圧力があります。オープンウエイトが増えると、企業は用途に応じて素早く試せます。言わば、試食コーナーが増えているようなものです。

公開モデルが増えるとエコシステムも育ちます。ツールや最適化手法、評価基準が整えば、実運用に使いやすくなります。結果として、導入のハードルが下がる可能性があります。

実務への影響はどう変わるか

選択肢が増えるのは歓迎ですが、同時に比較検討の負担も増えます。企業やエンジニアは評価基準を明確にする必要があります。信頼性、推論コスト、エコシステムの成熟度を見極めることが重要です。

例えば、応答の正確さが最優先のサービスと、低コストで大量処理するバッチ用途では、選ぶモデルが変わります。用途に合った“適材適所”の採用が鍵になります。

技術の肝:線形アテンションとMixture-of-Experts

Qwen3.5の目を引く点は、線形アテンションとMixture-of-Experts(MoE)という2つの技術を組み合わせている点です。

線形アテンションは、注意機構の計算を効率化する手法です。従来の全結合型注意に比べて計算量が抑えられます。一方、Mixture-of-Expertsは複数の“専門家”モデルを用意し、状況に応じて一部だけを使う仕組みです。必要なときだけ専門家を呼ぶイメージで、全体の負荷を下げられます。

この2つを組み合わせることで、使うリソースを抑えつつ適切な能力を発揮する「賢いスイッチング」が可能になります。キッチンで言えば、フルコースを作るときに全員が同時に働くのではなく、必要なときだけ専門シェフを呼ぶようなものです。

今後の見方とあなたへの提案

オープンウェイト競争は当面続くでしょう。モデルそのものの性能だけでなく、周辺ツールやドキュメント、コミュニティの成熟度も重要になります。

企業やエンジニアにとっての実務的なアドバイスは次の3点です。

  • 評価目的を明確にする(精度重視かコスト重視か)
  • 小規模なプロトタイプでまずは実行してみる
  • エコシステムの成熟度(ライブラリや最適化ツール)を確認する

Qwen3.5は「公開」であること自体に意味があります。中身の設計も興味深く、実験素材としては魅力的です。今後は性能比較だけでなく、運用コストや保守性まで含めた総合力が問われる時代になりそうです。楽しみながら注目していきましょう。