急増するデータセンターの隠れ排出源
AI需要で急増するデータセンターは運用時の電力消費だけで語れず、建設で使うコンクリートや鉄鋼、冷媒漏えいなどの隠れ排出が合算で大きくなるため、材料の低炭素化や循環設計、再エネ調達が改善の鍵であり、GoogleやMicrosoftなどの事業者も対応を進めています。
データセンターの増加を追うとき、まず目に入るのは電気の話です。
しかし、見逃せないのが建設時に生じる排出です。運用時と建設時の両方が環境負荷に影響します。
なぜ「隠れ排出」が重要なのか
運用電力は瞬間的に目に見えます。電気メーターが数を示します。
一方、建設に伴う排出は一度に放出されます。言うなれば「生まれたときの荷物」です。
コンクリートや鉄鋼の製造、重機の燃料、輸送などが主な原因です。これらは合算すると無視できない量になります。
コンクリートはなぜ問題か
セメント製造では化学反応と燃焼で多くのCO2が出ます。
そのため、大規模な建築ほど初期排出が大きくなりがちです。
データセンターは広い床面と重い設備を支える基礎が必要です。結果としてコンクリート使用量が膨らみます。
それ以外の「見えにくい」排出源
冷却設備で使う冷媒の漏えいは、短期間で温暖化に強く影響します。
ラックやケーブリング、UPS(無停電電源装置)などの資材も埋め合わせの排出を生みます。
さらに、敷地造成や水利用、送電網の拡張といった周辺影響も侮れません。
誰にどんな影響があるのか
事業者は建設計画と電力調達戦略の見直しを迫られます。
地域コミュニティは土地利用や水需要の変化に直面します。
投資家や顧客はライフサイクル全体を評価対象にします。
情報開示や規制の強化が進めば、企業の対応はさらに重要になります。
現場でできる具体的な対策
材料面では低炭素のセメントや代替素材を活用します。
設計面では設備をコンパクトにまとめ、資材量を削減します。
施工ではモジュール化やリユースを取り入れると効率が上がります。
エネルギー面では再エネ調達やオンサイト発電、蓄電の導入が効果的です。
冷媒は環境負荷の小さい代替品に移行し、漏えい対策を強化します。
政策と市場の役割
ライフサイクル評価(LCA)を義務化する動きが出れば、初期排出も含めた比較が標準になります。
カーボンプライシングや排出情報の開示ルールも、選択を変えさせる力を持ちます。
企業と建設業界、自治体が協働することが重要です。互いの知見を共有すると実効性が高まります。
結び:一歩引いて全体を見る視点を持とう
データセンターの環境負荷は運用電力だけでは測れません。
建設時の“隠れ排出”を含めて考えることが大切です。
材料、設計、電源の三本柱で改善を進めれば、AI社会のインフラをより持続可能にできます。
読者の皆様には、施設のライフサイクルを意識した選択をおすすめします。