AI インフラストラクチャーの急速な拡大が、地域の水資源と税制度に深刻な圧力をもたらし始めた。米国では新規データセンターの約3分の2が記録的な干ばつに見舞われた地域に建設予定であり、同時にオーストラリアでは AI データセンターに対する課税を求める政治運動が勢いを増している。

米国の干ばつ地域へのデータセンター殺到

Guardian の分析によると、AI ブームの中で計画されている米国のハイパースケール・データセンターの大多数が、深刻な水不足に直面している地域に立地する予定だ。データセンターは膨大なサーバーを冷却するために大量の水を必要とする。冷蔵庫が24時間常時稼働するのと同じ負担が、地域の水インフラにのしかかることになる。

干ばつが常態化しつつある米国の西部・南部では、農業用水との競合、地下水の枯渇、地方自治体の給水能力の限界といった課題がすでに表面化している。AI データセンターの大規模な建設は、こうした既存の危機を一層悪化させる可能性が高い。

オーストラリアで『AI タックス』の政治運動

並行して、オーストラリアではデータセンター建設に対する課税を求める政策議論が活発化している。元副首相で現在は独立系議員の David Pocock は、ガス輸出に対する 25% 課税の事例を引き合いに出しながら、AI データセンター事業者に対する同等の税率を求めている。

Pocock は「国土、エネルギー、水を米国の tech 企業に搾取させてはならない」と述べ、この訴えに応じて数千人のオーストラリア人が地元議員にメールを送付。ガス輸出課税を支持するために使われたのと同じ財政原理を AI データセンターにも適用する必要があると主張している。

業界の転機

これらの動きは、AI インフラ建設の「外部コスト」が無視できなくなったことを意味する。データセンター建設企業と電力・水道インフラの地方自治体、そして地域住民の利害が対立する局面が増えるだろう。冷却方式の最適化やリサイクル技術など技術的な対応策もあるが、根本的には「誰が環境コストを負担するのか」という政治的・経済的な問題として決着がつく段階に入ったと言える。