ラスベガスで幕を開けたCES 2026は、今年も驚きと期待に満ちていました。特に目立ったのは「AIが現実世界の現場とどう結びつくか」というテーマです。会場では大手企業の発表が相次ぎ、工場やロボット、自動運転といった“手と足のある現場”でのAI活用が一気に前面に出てきました。

公式キックオフ前から見えた潮流

イベントの公式開始を待たずに、AmazonやNVIDIA、Hyundai、AMDといった企業の発表が続きました。AIはもはや実験段階ではなく、現場の作業や運用を効率化するための実装フェーズに入っています。短い言葉で言えば、AIが“アイデア”から“工具”へ変わりつつあるのです。

現場でAIは何をするのか

現場でのAI活用は主に次のような形で進みます。

  • データの収集と解析でボトルネックを見つける
  • ロボットの動作をリアルタイムで支援する
  • 自動運転の認識・判断を高度化する

ここで用いる専門用語を一つ説明します。EDAとは半導体設計を支援する自動化ツールのことで、設計検討に大量の計算を要します。AIはこうした計算負荷の高い領域でも威力を発揮します。現場での課題は、データ品質の確保や運用設計、そしてセキュリティ対策です。良いデータがなければ、良い判断は生まれません。

主要企業の動き――要点をかみくだく

AMDやNVIDIA、Siemensといった企業の動きは現実味があります。

  • AMDはデータセンター向けのAIアクセラレータを発表しました。AIアクセラレータとは、AIの計算を高速化する専用ハードウェアです。また、ノートPC向けのAI機能搭載チップも発表され、デスクから現場まで幅広くAIが使いやすくなってきています。
  • NVIDIAはSiemensのEDAツールを自社GPUで高速化する取り組みを明らかにしました。設計サイクルの短縮は、半導体や電子機器の現場にとって大きなメリットです。

ハードとソフトの連携、そしてエコシステムの拡張が普及のカギになります。例えるなら、これまで手作業で運んでいた荷物をベルトコンベアで流すような変化です。

奇抜デバイスが示す“身近なAI”の顔

会場にはユーモラスで意欲的なプロダクトも並びました。AIパンダのペットや、アニメ風のデスク用ホログラムなどです。こうしたアイテムはAIを日常へと近づける試みです。実用性の評価はこれからですが、消費者体験を広げるきっかけになるでしょう。一方で、プライバシーや長期的な商業価値は慎重に見極める必要があります。

まとめ:ボーダーが溶ける瞬間に立ち会っている

CES 2026は、AIと現場の接点が着実に広がっていることを示しました。工場の自動化、ロボットの知能化、自動運転の高度化といった領域で、AIは“道具”として定着し始めています。今後は標準化や企業間の協業、そしてデータ品質やセキュリティの向上が普及の決め手になります。

最後にひと言。技術そのものの速さに目を奪われがちですが、現場で使われ続けるためには「信頼」と「運用の工夫」が何より重要です。CESが見せたのは、その両方に向けた第一歩の数々でした。ぜひあなたも、身の回りでAIがどんな“工具”になり得るかを想像してみてください。