CES2026で見えた「使い勝手優先」の潮流

CES2026の会場は、派手な機能競争だけでは語れなくなっていました。たしかに新機能は目を引きます。ですが、来場者の心をつかんでいたのは「直感的に使えるか」「信頼できるか」といった使い勝手でした。Wiredが指摘するように、企業はAIを単なる機能追加と考えず、ユーザー体験(UX)を最優先に据え始めています。

AIは道具箱のようなものです。優れた道具でも、使いにくければ出番は来ません。CESが教えてくれたのは、これからは「何ができるか」より「どう使えるか」が勝敗を分ける、ということです。

UXが勝敗を分ける時代の幕開け

目立っていたのは機能の数ではありません。使い勝手の良さです。企業はユーザー研究を重ね、利用場面に即した設計を進めています。成功する導入には、次の3点が不可欠です。

  • ユーザーの声を設計に組み込むこと。現場の課題を出発点にする。
  • 明確な評価指標を設定すること。感覚ではなく数値で改善を測る。
  • 継続的なフィードバックループを用意すること。リリース後も改善を続ける。

これらは小さなパイロットで試すことが有効です。実際に触ってもらい、反応を観察してから本格導入する。安全で現実的な進め方です。

NVIDIAが描くロボティクスのAndroid像

NVIDIAはロボティクス向けの包括的エコシステムを発表しました。ここで言うfoundation models(ファンデーションモデル)は、大量データで事前学習された汎用のAIモデルを指します。これとシミュレーションツール、専用ハードを組み合わせることで、開発の共通基盤を目指す動きです。

例えるなら、Androidがスマホアプリの共通土台を作ったようなものです。開発者は共通の土台に乗ることで効率よく作れますが、長期的な採用はエコシステムの拡張性やサポート体制に左右されます。企業側は自社の開発体制やデータ方針と整合するか、慎重に見極める必要があります。

AMDの新AI PCが日常利用へ広がる可能性

AMDは一般利用とゲーム、制作作業に向けたAI搭載PCチップを発表しました。ポイントはAI機能を日常の作業に溶け込ませる設計です。文章生成や画像処理、マルチタスク支援が手元のPCで当たり前になる――そんな未来を狙っています。

ただし、体感できるかはソフト側の最適化とエコシステム次第です。相性の良いアプリを選ぶことが、ユーザー満足を左右します。つまりハードは土台。そこに合うソフトが揃って初めて恩恵が実感できます。

実務で押さえるべき活用ポイント

現場で役立つ実務的な提案は次の通りです。

  1. UXを軸に導入計画を立てる。まずはユーザーの業務フローを観察してください。
  2. 小さなパイロットを回す。早めに実ユーザーから定量・定性のデータを得る。
  3. 評価指標を明確にする。利用率、タスク短縮、満足度などを定める。
  4. データガバナンスとセキュリティを優先する。収集と利用のルールを整備する。
  5. エコシステムの長期サポートを確認する。拡張性とベンダーの姿勢を見極める。

導入はマラソンです。短期の派手さより、持続可能な運用体制が重要です。

今後の展望と提案

CES2026は、AIの普及が量から質へとシフトする重要な節目でした。NVIDIAのロボティクス基盤やAMDのAI PCは、その具体例です。企業はまず自社の業務の「痛点」を洗い出してください。次に小さな実験を計画し、結果に基づいて段階的に拡大することをお勧めします。

最後に一言。テクノロジーは魔法ではありません。人が使ってこそ価値を発揮します。良いUXと堅実な運用があれば、AIは現場の強力な味方になります。あなたの職場でも、まずは一歩、小さなパイロットから始めてみてください。

CESが教えてくれたのは、速さよりも使いやすさが勝利を呼ぶということです。少しの工夫が、大きな差になります。