キム・カーダシアン告白:ChatGPTは“フレネミー”

華やかなセレブの一言が、私たちに身近なAI利用のリスクを突きつけました。TechCrunchの報道によれば、キム・カーダシアン氏はChatGPTを頼りにした結果、法学試験に不合格になったと認め、「ChatGPTは私の『frenemy(友だちであり敵でもある存在)』だ」と語ったといいます。


“frenemy”の正体とは

“frenemy”とは「友だちでもあり敵でもある相手」を指す言葉です。AIも便利な味方ですが、時に誤りを混ぜてしまう点で“敵”にもなり得ます。今回の告白はその典型例です。

報道は本人の発言を伝えていますが、どのような誤答があったのか、試験の詳細や時期は明かされていません。それでも重要なのは、AIへの過信が現実の不利益につながり得るという点です。

どうして誤答が生じるのか

簡単に言うと、現行の大規模言語モデルは学習データをもとにもっともらしい言葉を生成します。事実確認を必ず行うわけではありません。以下が主な原因です。

  • 学習データの偏りや欠落で誤情報を学ぶことがある
  • 根拠が薄い推定を自信たっぷりに示す(いわゆる「ハルシネーション」)
  • 出典や一次情報(直接の資料や原典)を示さない場合がある

例えるなら、AIは頼れるナビゲーションです。しかし、地図データが古かったり、道が新しくできていると案内を誤ることがあります。ナビを信じてそのまま進むと、目的地に着けないことがあるのです。

法務現場に必要な対策

法的な判断や試験の準備にAIを使う際は、AI出力をそのまま鵜呑みにしないことが鉄則です。具体的な対策をいくつか挙げます。

  • 出典の明示を求める運用にする
  • 人的レビュー(専門家による確認)を必須化する
  • AIの役割と責任範囲を明確に定める
  • 社内規程や研修でリスク認識を共有する

これらは単なる手間ではありません。重要業務でのミスを未然に防ぐための保険と考えてください。

一般ユーザーが今すぐできること

AIを日常的に活用する皆さんにも実践しやすい習慣があります。

  • 複数の情報源で照合する
  • 出典や根拠を自分で確認する
  • 重要な決定は専門家に相談する
  • AIは「下書き」や「参考案」として使う

これだけで、AI活用の安全度はぐっと上がります。

結論:教訓として受け取るべきこと

キム・カーダシアンの告白は、単なるゴシップ以上の意味を持ちます。AIの便利さと危うさが共存する現実を、わかりやすく示しました。

AIは強力な道具です。ですが、道具は使い方次第で良薬にも毒にもなります。出力を検証し、責任の所在を明確にする。これが、安全で有益なAI活用の基本です。


(注)報道は本人の告白に基づいています。誤答の具体的内容や試験の詳細は明示されていないため、本稿は報道内容をもとに一般的な解説と示唆を述べています。