Isomorphic Labs の AI 開発医薬品、ヒト臨床試験へ――DeepMind スピンオフが創薬革新の実現段階に
DeepMind のスピンオフ企業 Isomorphic Labs が、AI を用いて開発した医薬品がヒト臨床試験に進むと発表。Max Jaderberg CEO は「充実したパイプライン」を語り、AI 医学研究が実用化の局面を迎えた。
AI 医薬品開発が実用段階へ
Google のスピンオフ企業 Isomorphic Labs が、AI により開発した医薬品がヒト臨床試験に進むと明らかにした。Max Jaderberg CEO は 2026 年 4 月 24 日のロンドン「WIRED Health」カンファレンスで、「充実かつ興味深いパイプラインを構築した」と述べ、これまで研究段階に留まっていた AI 医薬品開発が、実際の患者を対象とした試験の局面を迎えたことを示唆した。
DeepMind からのスピンオフと技術基盤
Isomorphic Labs は 2021 年に DeepMind より分社した企業である。DeepMind はタンパク質構造予測モデル AlphaFold を開発し、分子生物学に革新をもたらした。Isomorphic Labs はこの知見を継承し、AlphaFold 3 をはじめとする AI モデルを医薬品開発に応用する企業として設立された。
同社の特徴は、タンパク質構造予測だけに留まらず、化合物設計、毒性予測、ターゲット同定といった創薬プロセス全体を AI で統合的に支援する技術スタックの構築である。IsoDDE など の統合設計エンジンが、従来は試行錯誤に頼っていた医薬品開発サイクルを短縮し、成功率を高めるための仕組みとなっている。
業界への示唆と競争の激化
AI による医薬品開発は、これまで学術論文の段階に留まっていた。Isomorphic Labs のヒト試験進出は、AI が医学研究の理論段階から臨床実装段階へ移行しつつあることを示す重要なマイルストーンである。
同時に、医療・製薬業界における AI 活用の競争も激化している。製薬大手や AI スタートアップが相次いで医薬品開発プロジェクトに投資を集中させており、今後 5 年で複数の AI 開発医薬品がヒト試験に進むと予想される。Isomorphic Labs の進展は、この流れの初期的な事例であり、業界全体のベンチマーク指標となる可能性がある。
Jaderberg の発言は、DeepMind 発の基礎研究が実用的価値を生み出す段階に入ったことを示す。医薬品開発の効率化と成功率向上が現実化すれば、既存医療システムの変容をもたらす転機になるだろう。