CES 2026で見た、生活を変えるAI体験
CES 2026では、AI(人工知能)がコーヒーや香り、テニスロボを通じて日常体験を個別化する可能性を示し、技術の魅力とデータ管理や保守などの現実的な課題も明確になりました。
会場は未来の“朝”をそっと見せてくれました。AI(人工知能)は単なる研究テーマではなく、日常の細かな場面に入り込み始めています。CES 2026ではそんな変化が、実機デモという形で来場者に提示されました。
コーヒーと香りがつくる個人化された朝
会場で特に目を引いたのは、AI制御のコーヒーマシンです。抽出温度や圧力、粉の挽き方までをセンシングして最適化します。来場者の好みを学習し、好みに近い一杯を再現する仕組みです。想像してみてください。朝の一杯が、その日の気分に合わせて少しずつ変わる光景を。
香りデバイスのデモも行われました。こちらは嗜好データをもとに好みの香りを再現する取り組みです。香りは記憶や気分に強く結びつきますから、個別化の効果は大きそうです。ただし、香りの再現性を安定させるのは技術的に難しい点もあります。匂いは濃度や空間条件で変わるため、同じ香りを毎回出すことが課題です。
また、コストや清掃・消耗品などのメンテナンス負担も普及のカギになります。高性能でも手入れが面倒だと家庭には入りにくい。地域ごとの嗜好や使われるシーンの違いも、ヒットの可否を左右します。
テニスロボが示したスポーツの新しい景色
コートではテニスロボットが高速の返球を続けていました。AIと高精度のセンサーでボール軌道を予測し、打点を調整します。見た目は未来的ですが、用途は地味に実用的です。練習相手として、フォーム解析の相棒として、イベントの目玉として使えます。
家庭用の小型モデルから、イベント向けのパワフルな機体まで各社が出展していました。機械と人のラリーは、スポーツのトレーニング方法や観戦のあり方を変える可能性を感じさせます。
普及の壁と社会的な意味
専門家は、AI搭載デバイスの普及にはいくつかの重要要素があると指摘します。まず信頼性と耐久性です。長期にわたって安定動作することが前提になります。次にデータ管理とプライバシーの扱いです。何をどこまで学習させるかは消費者の信頼を左右します。
さらに、運用コストや法規制、地域差も無視できません。便利さの裏にはメンテナンスや更新費用が伴います。企業側の説明責任が果たされれば、より多くの人が新しい体験を受け入れてくれるでしょう。
展望と、私たちにできること
AIが生み出す体験は、生活の質を上げる余地を大きく持っています。一方で、雇用構造や暮らし方にも影響を与える可能性があります。技術をただ受け入れるだけでなく、どのデータを提供し、どんな設定で使うかを個人で選ぶことが重要です。
規格整備や法制度が整えば、安全で信頼できる製品が増えるでしょう。まずは身近なデモに触れて、自分にとって価値があるかを見極めることをおすすめします。CES 2026は、そんな選択を始める良いきっかけを与えてくれました。