導入

MetaがOklo、TerraPower、Vistraの三社と結んだ、合計で6ギガワット(GW)を超える長期電力供給契約は、単なる大口の契約ではありません。AIを動かす巨大な計算機群にとって、電力は燃料そのものです。ギガワット(GW)は電力の単位で、1GWは100万キロワットに相当します。イメージとしては、大都市の一部を丸ごと賄える規模の電力です。

契約の中身と狙い

契約の公式発表は簡潔ですが、読み取れるポイントは明快です。MetaはデータセンターとAIインフラの急速な拡大を見越して、長期かつ大容量の電力を確保しようとしています。

OkloとTerraPowerは先端的な核技術を持つ企業です。ここで言う核技術には、小型モジュール炉(SMR)など、従来の大型原子炉より柔軟に運用できる技術が含まれます。小型モジュール炉(SMR)は出力規模が小さく、工場生産や段階的な導入がしやすい原子炉を指します。一方、Vistraは既存の広範な電力網や供給ノウハウを持つ大手電力事業者です。

この組み合わせは、核由来の安定電力と市場運用の仕組みを両取りする形です。再生可能エネルギーは出力変動があるため、極めて安定した電力を要求するデータセンターのニーズに対して、核は安定供給の選択肢となり得ます。

なぜ“核”が選ばれるのか

AIモデルの学習や推論は大量の電力を連続的に消費します。例えるなら、AIは24時間稼働する工場のようなもので、停電や出力低下が許されません。再エネだけで賄うには、蓄電や過剰設備が必要になり、コストと実効性の面で課題が残ります。

核技術は高い稼働率と安定性を提供します。とはいえ、核を導入するには規制、安全性、廃炉・廃棄物処理といった課題があります。こうした現実的な課題をどう設計していくかが、次の焦点です。

市場への波及と影響

この規模の契約は、エネルギー供給側と需要側の関係を変える可能性があります。大手テック企業が長期にわたり大容量を確保する動きは、電力市場の需給バランスや投資判断に影響します。

また、技術や規制の整備が進めば、他のクラウド事業者やAI企業も同様のモデルを検討するでしょう。結果として、核技術を含む多様な電源ミックスが促進される可能性があります。

懸念と注視すべき点

期待と同時に、注視すべきポイントも明らかです。安全性確保の仕組み、導入スケジュールの現実性、コスト見通し、地域コミュニティとの合意形成などです。特に規制面は国や地域で大きく異なりますから、実運用までの道のりは一概に短いとは言えません。

結論:何を見ればよいか

現時点で確かなのは、Metaの今回の動きがAIインフラの電力戦略に新たな選択肢を提示したことです。核技術を含む供給体制と市場運用の組み合わせが、安定性とコストの両立を目指す現実解になり得ます。

今後は各社の詳細な合意内容、規制対応、実際の導入スケジュールを追うことが重要です。こうした情報が出そろえば、AIインフラとエネルギー政策の接点がより鮮明になります。読者の皆様には、技術的恩恵と社会的課題の両面を楽しみつつ注目していただければと思います。