現場でAIを使うとき、ただ高性能なモデルを入れれば済むわけではありません。
「モデルが賢い」ことと「現場で安定して使える」ことは別物です。NetomiはGPT-4.1やGPT-5.2といった最新モデルを活用しつつ、エンタープライズ向けエージェントを現実的にスケールさせるために、運用の核となる三つの要素に注目しています。

まず押さえたい三要素

Netomiが現場で重視するのは、同時実行、推論、ガバナンスの三点です。以下で順に説明します。

同時実行(並行処理)とは

同時実行とは、複数の問い合わせやタスクを同時に処理する能力です。例えばカスタマーサポートのチャットボットが同時に何十件もの会話を捌くイメージです。遅延が少なく、ユーザー体験を損ねないことが重要です。

推論(インファレンス)の意味

推論とは、モデルが入力から出力を生成する処理のことです。ここでは単発の応答だけでなく、段階的に検証を入れる多段推論を指します。例えるなら、回答を出す前に自分で答え合わせをするような流れです。これにより誤情報の混入を減らせます。

ガバナンスの役割

ガバナンスは、出力の品質やセキュリティ、コンプライアンスを守る仕組みです。ルール設定や監視ログ、アクセス管理などを含みます。エンタープライズでは透明性と説明性が求められるため、ガバナンスは欠かせません。

三要素を組み合わせると何が変わるか

同時実行でスピードを確保し、推論で精度と検証性を担保し、ガバナンスで安全性を守る——この三点がそろうと現場の信頼性はぐっと高まります。たとえば、複数チャネルの問い合わせに遅延なく応えつつ、重要な判断には検証ステップを挟み、ログとルールで説明可能にできます。

直面する現実的な課題

とはいえ課題もあります。一つは、GPTファミリーのバージョン差による挙動の違いです。モデル更新が頻繁だと挙動のばらつきや整合性維持が難しくなります。もう一つは運用負荷です。多段推論や厳格なガバナンスは効果的ですが、設定と監視のコストが増えます。

ITと現場の協働がカギ

ここで重要なのは、IT部門と業務部門の協働です。ITはセキュリティと運用基盤、ガバナンス設定を整備します。業務部門は出力の妥当性を評価し、現場要件を提示します。双方が手を取り合うことで、導入がスムーズになり、現場の採用率も上がります。

導入のポイントと今後の展望

実務的には、三要素の連携設計が重要です。まず小さなユースケースで同時実行と多段推論を試し、ガバナンスルールを段階的に強化することをおすすめします。現場での成功事例が増えれば、ガイドライン化が進み、組織全体の定着につながるでしょう。

最後に一言。AIの進化は速いですが、現場で長く使える仕組みは技術だけで作れません。運用の設計と現場との対話が、実際の価値を生み出します。Netomiのアプローチは、その実現に向けた現実的な一歩と言えます。