Gong調査:AI導入で担当者売上が77%増加
Gongの調査では、7.1百万件の商談データから、AIを“第二の意見”として活用する企業で担当者あたりの売上が最大77%改善し、生産性向上も確認されました。
AIの力は単なる自動化にとどまりません。Gongの最新調査は、AIが判断を補助する「第二の意見」として現場の成果を押し上げる様子を示しています。
調査の要点を先に
Gongは世界中の7.1百万件を超える商談データを分析しました。対象は3,600社以上と3,000名を超えるグローバルリーダーです。結果、AIを業務に組み込む企業では、担当者1人あたりの売上が最大で77%増加するケースが確認されました。さらに、Gong自身の現場では、AIが見込み客の開拓を支援することで、セールス担当者の約80%が自らアポイントを設定する状況が観察されています。
AIは“第二の意見”として働く
ここでいう「第二の意見」とは、AIが最終判断を奪うのではなく、データに基づく洞察を提示して人の判断を補強する役割を指します。人間の経験に裏打ちされた直感に、AIの客観的な視点が加わるイメージです。例えるなら、ベテラン営業が持つ勘に、客観的な診断書が添えられるようなものです。
実務での具体的な変化
現場では、AIがルーチンな見込み客発掘や予測モデルを担い、セールスは対人交渉など高付加価値業務に集中できるようになりました。これが担当者1人あたりの成果向上につながっています。予測(forecasting)精度の向上は、目標達成を安定させる決め手の一つです。
汎用AIと専門AIのちがい
ここで用語の補足です。汎用AIは幅広い用途に使えるツール、専門AIは特定業務に特化したモデルを指します。Gongの調査では、専門AIを導入するチームの方が売上成長が約13%高く、商業的インパクトは約85%高いと報告されました。汎用ツールは導入のハードルが低い反面、組織全体の統合や効果最大化で課題が出やすい点に注意が必要です。
地域差:米国と欧州の温度感
地域別では普及状況に差が見られます。米国では導入済みまたは導入予定と答えた企業が87%にのぼるのに対し、英国は70%です。調査では米欧の普及ペースに約18カ月の差があると整理されています。背景には歴史的な技術採用の差や市場環境の違いがあります。
過去2年で何が変わったか
この2年でAI受け入れは急速に進みました。成長鈍化と生産性重視の圧力が、AI導入を後押ししています。組織はデータに基づく判断を強化し、現場を高付加価値業務に振り向ける再配置を進めています。
では読者は何をすべきか
結論としては、AIを「全てを任せるもの」と捉えるのではなく、「判断を磨く相棒」として組み込むのが現実的です。特に専門AIの導入を検討し、予測や評価の精度を高める体制を作ることをおすすめします。小さな実験から始め、効果が出た領域を段階的に広げていくと良いでしょう。
最後に一言。AIは道具です。上手に使えば、担当者の成果を飛躍的に伸ばす心強い味方になります。Gongのデータは、その可能性を明確に示しています。