OpenAI がロンドン新オフィス開設、500名超の拡張計画——英国での研究ハブ化を加速
OpenAI がロンドンの King's Cross に新オフィスを開設。現在の約2倍の500名超を収容可能。英国の AI 研究拠点としての地位を強化。
ロンドンでの大規模拡張を発表
OpenAI は 2026年4月、ロンドンに新たなオフィスを開設すると発表した。同オフィスの規模は約8,200平方メートルで、500名を超える従業員を収容できる。これは同社の英国での現在の従業員数(約200名)の2倍以上に相当する。
新しいオフィスは、ロンドンの King’s Cross 地区に位置する。同地区には Google DeepMind、Meta、Synthesia、Wayve など、AI・テクノロジー企業が相次いで拠点を置いており、英国の AI 研究の中心地として機能しつつある。
英国での研究ハブ化戦略
OpenAI のロンドン拡張は、2月の発表「ロンドンを米国外の最大規模研究ハブにする」という戦略の実現へ向けた重要な一歩だ。同社は英国を AI 研究・開発の重要な拠点と位置付け、欧州市場への対応強化を目指している。
ロンドンという立地は、欧州の金融・技術人材へのアクセス、英語圏での研究機関との連携、英国の規制環境への対応など、複数の戦略的メリットをもたらす。また EU 離脱後の英国が AI 規制の自主性を持つ背景も、グローバル企業にとって魅力となっている。
インフラ計画への影響との関連
今回の新オフィス開設の発表は、同社が同時期に直面した別の課題と対比される。OpenAI は英国での Stargate インフラプロジェクト を一時停止することを明かした。理由はエネルギーコストの高騰と規制上のハードルである。
Stargate プロジェクトはパートナー企業 Nscale との協力による大規模データセンター構想だったが、英国の電力供給コスト上昇と環境規制の厳格化が実現を困難にしている。Nscale との協議は継続中だが、プロジェクトの先行きは不透明な状況が続いている。
英国 AI 産業への示唆
一方で新オフィスの開設は、エネルギー課題を抱える英国にとっても重要なシグナルとなる。OpenAI のような主要 AI 企業が研究拠点の投資を継続する姿勢は、英国の規制環境が国際競争力を失していないことを示す。
同時に、インフラ投資の停止と研究開発拠点の拡張が並行する現象は、AI 企業にとって「計算能力」よりも「人材と研究」が優先順位の高い経営判断であることを示唆している。
OpenAI のロンドン戦略は、グローバル AI 競争における英国の位置付け、そして AI 企業の地政学的リスク対応の今後を注視する上で、象徴的な動きとなるだろう。