Alibaba、中国最強を謳う新型AIチップ「Zhenwu V900」発表、5〜10兆パラメータモデルも計画
Alibabaが杭州の年次カンファレンスで新型AIアクセラレータ「Zhenwu V900」を発表。前世代比3倍の性能を持ち、2027年第1四半期に量産開始予定。5〜10兆パラメータのAIモデル計画も明らかにした。
Alibabaは9月22日、杭州で開催の年次イベント「雲栖大会(Apsara Conference)」で新型AIアクセラレータ「Zhenwu V900」を発表した。半導体子会社T-Headが開発したこのチップは前世代「Zhenwu M890」比で3倍の性能を実現し、Alibabaは「中国国内で最も強力なAIチップ」と位置づけている。同時に、5兆〜10兆パラメータ規模のAIモデル開発計画や、2032年までのデータセンター容量拡張計画も明らかにした。
Zhenwu V900の仕様
Zhenwu V900はGPUメモリ216GB、チップ間帯域幅1,200GB/秒を備え、FP8・FP4を含む複数の演算精度をネイティブにサポートする。単一クラスタで最大50万枚のチップを束ねる構成に対応し、フロンティアモデルの学習・推論に必要な計算規模をカバーする設計だ。量産・商用出荷は2027年第1四半期を予定している。
製造は米国の対中輸出規制への対抗として国内完結を選択し、中国最大手ファウンドリーのSMIC(中芯国際)が主要な製造パートナーを担う。前世代のM890は既に56万枚以上が外部顧客に出荷済みで、自動車・金融・製造業など650社超が採用しているという。AlibabaはM890→V900→J900という複数世代のチップロードマップも示した。
5〜10兆パラメータモデルへの布石
AIモデル面では、次世代「Qwen 4」が学習中であることを明らかにし、続く「Qwen 4.5」「Qwen 5」シリーズでは5兆〜10兆パラメータへのスケールアップを目指すとした。現行の最強モデル「Qwen3.8-Max」(2.4兆パラメータ)は既に33回の自己改善サイクルを経てスコアを40から45に引き上げており、Alibabaはこうした再帰的自己改善(RSI)のアプローチを継続する方針を示している。
データセンター投資では、Alibaba CloudのグローバルなAI計算容量を2032年までに20ギガワット超まで拡大する目標を掲げた。この発表を受け、香港市場でAlibaba株は当日3〜5%上昇した。
読者への影響
米国による対中半導体輸出規制が続くなか、AlibabaがSMICとの国内完結型サプライチェーンで独自にNVIDIA級の計算基盤を構築しようとしている点は、米中間のAI技術覇権競争の構図を象徴する動きだ。650社超の実利用実績を持つM890の延長線上にV900があることから、中国国内のクラウド顧客にとっては現実的な代替インフラとして機能し始めている。
5〜10兆パラメータ級のQwenモデルが実現すれば、オープンウェイトモデルの性能競争において米国発モデルとの差を縮める材料になる可能性がある。低価格・高性能な中国製AIモデルの動向は、コスト重視でLLMを選定する開発者にとって今後も注視すべきポイントだ。