Apple、ローカルAI推論に本気の新型Mac Studio・Mac mini発表、M5 Ultraは統合メモリ512GB
AppleがMac miniにM6、Mac StudioにM5 Ultraを搭載した新モデルを発表した。M5 Ultraは統合メモリ最大512GB・帯域幅1.2TB/秒で、ローカルLLM実行を強く意識した設計になっている。
Appleが新型Mac miniとMac Studioを発表した。目玉は新チップのM6とM5 Ultraで、いずれもローカルでのAI推論を強く意識した仕様になっている。M5 Ultra搭載のMac Studioは統合メモリを最大512GBまで積めるようになり、大規模言語モデル(LLM)をクラウドに頼らず手元で動かす用途に的を絞った設計だ。
「AI専用マシン」へと舵を切ったMac
Mac miniとMac Studioは、統合メモリアーキテクチャと高速なCPU・GPUを持つSoC(システム・オン・チップ)のおかげで、以前からローカルAI推論やソフトウェア開発用途で人気を集めてきた。今回の刷新でAppleはその流れを明確に後押しする方向へ舵を切った。
背景には2025年12月に登場したmacOS 26.2がある。Thunderbolt 5接続を使ったホスト間の低遅延通信を可能にし、オープンソースの機械学習フレームワークMLXを使った分散AI推論に対応した。これにより開発者や研究者は複数のMac miniやMac Studioを数珠つなぎにし、単体では動かせない大規模モデルを動作させる運用を広げてきた。今回の新モデルは、まさにその使われ方を前提に設計されている。
M6とM5 Ultraの仕様
Mac miniに搭載されるM6は、Appleとして初めて2nmプロセスで製造されるMシリーズチップだ。12コアCPU(性能重視の「スーパーコア」2個、パフォーマンスコア4個、効率コア6個の3種構成)と12コアGPUを備え、統合メモリの帯域幅は最大160GB/秒に達する。ただしメモリ容量は32GBが上限となる。
一方のMac Studioに搭載されるM5 Ultraは、M5 Maxを2つ組み合わせた構成で、CPUは36コア(スーパーコア12個、パフォーマンスコア24個)、GPUは80コア、ニューラルエンジンは32コアを備える。統合メモリは最大512GB、帯域幅は最大1.2TB/秒に達し、Appleのラインアップで最も強力なAI向けチップとなった。
価格はMac mini(M6・16GB)が899ドルから、M5 Pro構成は1699ドルから。Mac Studioは M5 Max構成が2499ドルから、M5 Ultra構成は5499ドルから。予約は発表当日から開始し、9月22日に出荷される。ただし512GBメモリ構成のStudioのみ10月下旬の出荷となる。
開発者のコスト意識を反映
AppleがローカルAI推論に注力する背景には、クラウド型LLMのコスト増大がある。Claude CodeやCodexのような高度なコーディングエージェントの利用が広がる一方、クラウドモデルの実行コストは高止まりしており、この先も持続可能かを疑問視する声が出ている。QwenやDeepSeekの最新モデルのようなオープンウェイトモデルは、トークン課金なしにローカルの計算資源で同等の作業をこなせる利点がある。
とはいえ、一般的なMacBook Proのような標準スペックのコンシューマー機では、動かせるモデルの規模に限界があるのが実情だ。だからこそ一部の開発者はMac miniやMac Studioを複数台つないで運用してきた。今回の新モデルは、そうした需要の受け皿として設計されている。
Wi-Fi 7とBluetooth 6に対応する新チップN1を両モデルに搭載し、ストレージ速度は最大15GB/秒と従来比2倍を謳う。Mac miniは2.5Gbイーサネットを標準装備し、10Gbへのアップグレードも選べる。いずれも新たにmacOS 27「Golden Gate」を搭載して出荷される見込みで、他のMac向けにも年次OSアップデートが近く控えていることを示唆している。