Alibaba、動画生成AI「Wan3.0」公開、PDFやPPTから最長30秒の動画を生成
Alibabaが動画生成モデル「Wan3.0」を正式公開した。テキストや画像に加えPDF・PowerPointからも動画を生成でき、長さは前モデルの2倍の最長30秒に達する。
Alibabaが動画生成モデル「Wan3.0」の正式版を公開した。テキストや画像だけでなく、PDF・PowerPoint・Excel・Webページといったドキュメント形式からも動画を生成できる点が特徴で、生成できる動画の長さは前モデル「Wan2.7」の2倍となる最長30秒まで伸びた。
ドキュメントから動画を作る発想
Wan3.0は、テキスト・画像・動画・オーディオに加え、doc・xls・ppt・pdf・mdといったファイル形式を1つのプロンプトに含めて動画を生成できる。1回のプロンプトで最大10枚の画像、5本の動画、5つのオーディオクリップを組み合わせることも可能だ。企画書やスライドをそのまま素材として渡し、動画化できる設計になっている。
出力解像度は480p・720p・1080pに対応し、自動で構図を拡張するツールも備える。Alibaba Cloudは、キャラクターや小道具、空間配置の一貫性を高め、顔やUIの歪みといった従来モデルの弱点を改善したと説明している。同社によれば、公開ベータ版が8月6日にスタートして以降、短編ドラマ・映画制作、広告・マーケティング、観光プロモーション、ミュージックビデオ制作の現場で既に使われているという。
100億ドル増資の翌日という発表タイミング
Wan3.0の正式公開は、Alibabaが香港上場企業として過去最大規模となる100億ドル(約1兆5000億円)の株式売却を発表した翌日というタイミングで行われた。同社はAI関連の資本支出が急増しており、四半期利益は前年比75%減となっている。今回の増資はAI投資の原資確保が目的とされ、Wan3.0の展開はその投資の具体的な成果を示す狙いがあるとみられる。
利用料金は30秒・1080pのクリップでStandard版が6ドル、Prime版が8.4ドルで、現在Standard版は30%引きのキャンペーン中だ。480pであれば1.5ドル程度から利用できる。ユーザーは公式サイトのWanxiangや千問(Qianwen)アプリ、Alibaba CloudのBailian経由のAPI(モデルID: wan3.0-video)からアクセスできる。
動画生成競争における位置づけ
OpenAIのSoraやGoogleのVeoなど競合が動画生成モデルの性能を競い合う中、Alibabaはドキュメント入力という独自の切り口と価格の安さで差別化を図っている。1080pクリップが1本8ドル台で作れる価格設定は、企業のマーケティング担当者や個人クリエイターが日常的に動画生成を試すハードルを大きく下げるものだ。中国発のAI企業が動画生成分野でも実用段階の製品を投入してきたことは、生成AIを使った映像制作の裾野をさらに広げる動きとして注目される。