Baidu が新世代言語モデル「Ernie 5.1」を発表した。このモデルは前世代の Ernie 5.0 と比べ、1/3 のパラメータ数を使いながら同等の性能を実現。訓練コストはわずか 6%(つまり94%の削減)という驚異的な効率化を達成した。

Once-For-All フレームワークの革新

Ernie 5.1 の効率化の鍵は「Once-For-All」という新しい訓練手法にある。従来、異なるサイズのモデルを作るには複数回の独立した訓練実行が必要だった。だが Baidu のアプローチは、単一の訓練実行で深さ、エキスパート数、リクエストごとのアクティブなエキスパート数を同時に変化させ、そこから最適な設定を持つ Ernie 5.1 を抽出する。

この手法により、計算リソースを大幅に削減しながら複数の有効なモデルを生成できる。訓練時には総パラメータ数が大きく見えても、実行時のアクティブパラメータは前世代の約 1/2 に抑えられている。

性能検証:グローバルランキング 4 位

Ernie 5.1 は Search Arena Leaderboard で 1,223 ポイント を獲得し、グローバルランキング 4 位にランクイン。その後ろには Claude Opus 4.7(1,236 ポイント)、GPT-5.5 Search(1,242 ポイント)、Claude Opus 4.6 Search(1,255 ポイント)が控えている。

中国モデルとしては首位。この成績は、コスト削減と性能維持の両立がいかに困難であるかを考えると、Baidu の技術的達成の大きさを示唆している。

4 段階ポスト訓練パイプライン

Ernie 5.1 には新しい「4 段階ポスト訓練パイプライン」が導入されている。これは「シーソー効果」(コード能力と推論能力など異なる能力が互いに干渉する現象)に対処するため、コード・推論・エージェントタスク用に並列専門家モデルを配置。各能力領域の学習時に他領域の性能低下を防ぐ設計だ。

業界への示唆

AI モデルの訓練コストはインフラ投資の中核であり、削減は事業採算性を大きく左右する。Ernie 5.1 の成功は、効率的な訓練手法と高性能の両立が技術的に可能である ことを示す。

OpenAI や Anthropic といった欧米企業に対し、Baidu が低コストで競争力あるモデルを投入できる体制を構築したことは、グローバルな AI 市場の競争構図に変化をもたらす可能性がある。