EU委員会が最先端AIモデルへの規制アクセスを求める中で、OpenAIとAnthropicの対応が大きく異なっている。OpenAIはGPT-5.5 Cyberへのアクセスを自発的に提供することで規制協力の姿勢を示す一方、Anthropicは4~5回の会議を重ねてもMythosモデルのアクセス提供に至っていない。

規制当局が必要とするもの

EU委員会はAI規制を推し進めるため、最先端モデルへの直接アクセスが不可欠と考えている。対象機関はENISA(ネットワーク・情報セキュリティ機関)、AI Office、DG Connect(デジタル政策局)など複数部署に及ぶ。

EU委員会報道官トマス・レニエは声明で、OpenAIの提供姿勢に対して「透明性と提供の意思を歓迎する」と表明。一方、AnthropicについてはMythosモデルについて「良い対話が続いているが、まだアクセス段階に達していない」と述べた。

構造的な問題:欧州の弱さ

この事態の根底には、欧州が独自の最先端AI企業を持たないという構造的な課題がある。OpenAIもAnthropicも米国企業であり、EU規制当局は規制権を持ちながら、実質的には民間企業の自発的な協力に頼らざるを得ない立場にある。

業界関係者の間では、このアクセス問題がセキュリティリスクをもたらす可能性についても懸念が出ている。最先端モデルへの規制アクセスそのものが、欧州内での情報漏洩や競争優位性喪失のリスクとなる可能性が指摘されており、規制当局も慎重にならざるを得ない状況だ。

業界への波及効果

今後、EU規制に協力するAI企業とそうでない企業の間で、市場でのポジションに差がつく可能性がある。OpenAIのような協力的なアプローチは欧州市場での信頼を勝ち取れる一方、Anthropicの遅延対応は規制上の制約や企業評価に影響する可能性がある。

欧州委員会がAI規制の実効性を確保するには、主要企業すべての参加が必要不可欠。今後の交渉がどう進むかが、欧州のAI規制枠組みの実質性を左右する重要なポイントとなる。