DeepSeek、V4 シリーズを発表

中国の AI スタートアップ DeepSeek が、最新モデル V4-Pro と V4-Flash のプレビュー版をリリースしました。両モデルとも、前世代 V3 の 128,000 トークンから 100万トークンのコンテキストウィンドウ に拡張されており、長文処理やプロジェクト規模のコード分析に対応できるようになっています。

技術仕様と効率性

V4-Pro(高性能版)

  • パラメータ数: 1.6 兆(アクティブパラメータは 49 億)
  • コンテキスト: 100万トークン
  • 学習データ: 32~33 兆トークン
  • アーキテクチャ: Mixture of Experts(MoE)設計

100万トークンコンテキストでの処理には、前世代 V3.2 と比べて FLOP が 27%、KV キャッシュが 10% に削減されています。この驚異的な効率改善が、DeepSeek の低価格戦略を可能にしています。

V4-Flash(高速・低価格版)

  • パラメータ数: 2,840 億(アクティブパラメータは 13 億)
  • コンテキスト: 100万トークン
  • 用途: 汎用タスク、推論速度重視

圧倒的な価格優位性

最も注目すべきは API 価格です。

モデル入力価格出力価格
V4-Pro$1.74/百万トークン$3.48/百万トークン
V4-Flash$0.14/百万トークン$0.28/百万トークン
GPT-5.5(OpenAI)$15/百万トークン$60/百万トークン
Claude Opus 4.7約 $15/百万トークン約 $75/百万トークン

V4-Pro は GPT-5.5 の約 9 分の 1 の価格 で利用でき、V4-Flash に至っては $0.14 という破格の安さです。OpenAI と Anthropic が agentic AI 追求のため価格引き上げに踏み切る中、DeepSeek はまったく逆のアプローチで市場に参入しています。

性能評価と AI 競争の本質

DeepSeek の自社評価によれば:

  • V4-Pro Max: OpenAI の GPT-5.2、Google の Gemini 3.0-Pro を上回る
  • 自律型タスク: Claude Sonnet 4.5 に匹敵し、Claude Opus 4.5 レベルに接近

ただし、同じ V4-Pro であっても GPT-5.4 や Gemini 3.1-Pro には及ばないとされており、評価の完全性には議論の余地があります。

米中 AI 競争の焦点

このリリースは、米国企業(OpenAI・Anthropic)が中国企業による「蒸留攻撃」(モデル能力の不正な抽出)を指摘する中で行われました。米国側は「industrial-scale AI theft」と主張し、中国大使館は「unjustified suppression」と反論しており、AI モデルの知的財産権をめぐる国際的な緊張が続いています。

DeepSeek の戦略は、純粋なアーキテクチャ効率性の追求を通じた競争力の構築を示唆しています。効率化による低価格提供は、AI モデルの商用化段階における新たなビジネス戦略として、市場全体に波及する可能性があります。