Elon Musk の xAI、Anthropic Claude 出力で数ヶ月モデル訓練——アクセス遮断後も継続
xAI が Anthropic の Claude を使ってコーディングモデルを訓練していた。Anthropic が1月にアクセスを遮断した後も、xAI エンジニアは個人アカウントと Blackbox AI で訓練を続けていた。xAI の内部混乱も深刻化している。
xAI が Anthropic Claude を無許可で訓練データに
Elon Musk が率いる AI 企業 xAI が、Anthropic の Claude モデルの出力を利用して自社のコーディングモデルを数ヶ月間訓練していたことが判明した。Anthropic が 1 月に API アクセスを遮断した後も、xAI エンジニアは個人アカウントと Blackbox AI サービスを経由して訓練を継続していたという。
この事案は、AI 企業間の激しい競争と、訓練データの出所をめぐる業界全体の透明性の欠落を象徴している。
訓練の詳細——フォールバック経路
xAI の Grok コーディングモデル開発チームは、少なくとも 2025 年の秋から Claude の出力を収集・分析していた。Musk は過去に xAI が「部分的に OpenAI モデルを使った」と法廷で認めており、同様の方法論を Anthropic に対しても適用していたと見られる。
Anthropic が 1 月に公式な API アクセスを遮断した後、xAI エンジニアは以下の方法で訓練を継続:
- 個人アカウントで Claude にアクセス
- Blackbox AI(Claude の出力を仲介するサードパーティサービス)経由での利用
この並行利用により、xAI は数ヶ月間にわたってアクセス制限を事実上回避していた。
xAI の内部混乱が深刻化
より深刻なのは、xAI の組織体制そのものが崩壊に向かっているという報告である。
チームの劇的な縮小:
- Grok コーディングリーダーのうち 4 人が数ヶ月以内に離職
- 訓練(pretraining)チームが 5 人未満に縮小
致命的な技術的損失:
- 訓練用の重要なデータセットが誤削除され、2~3 週間分の作業がパーに
リソースの外部化: SpaceX の Colossus データセンターに蓄積された 110,000 枚超の NVIDIA GPU は、当初 xAI の Grok 訓練用に調達されたもの。しかし現在、Musk はこれらを Anthropic と Google にレンタル提供し、月額数百万ドルの外部収入を得ている。つまり、自社の AI 開発に使うべき計算リソースを外部企業に貸し出しているという奇妙な事態になっている。
業界へのインパクト
1. 訓練データの倫理問題の露呈
AI 企業が競合他社の出力を訓練データとして流用することは、業界全体で行われている可能性がある。しかし具体的な事例が表面化するのは稀だ。xAI の事案は、「誰から許可を得ずに、何を訓練データにしているのか」という根本的な問題を突きつけている。
2. 企業間の技術紛争の実態
OpenAI との訴訟、Anthropic との API 遮断など、AI トップ企業間の対立は単なる契約問題ではなく、根本的な技術的依存関係と競争の激化を示唆している。
3. Musk のビジネス戦略の転換
Musk は計算リソースを自社 AI 開発から「レンタル事業」へシフトさせた。これは xAI の AI 開発競争での敗北を暗に認めたようなものであり、「計算量で競争に勝つことができない」という判断を反映している。
注視すべきポイント
Anthropic は今後、API 利用契約の監視をより厳格にするだろう。また、他の AI 企業も同様の「迂回路」を塞ぐための措置を講じる可能性が高い。一方で、公開モデル(オープンソース LLM)の訓練には法的な規制が及びにくいため、業界全体で「訓練データの出所の透明化」に向けた標準化が求められる局面が近づいている。