韓国の電子通信研究院(ETRI、Electronics and Telecommunications Research Institute)が、複雑で長期間のタスク計画を得意とする新しい LLM エージェント技術「ReAcTree(Hierarchical LLM Agent Trees with Control Flow for Long-Horizon Task Planning)」を開発した。AAMAS 2026 国際会議で発表された同技術は、従来型エージェント手法の成功率を約 2 倍に改善する。

階層的構造で複雑タスクを分割

ReAcTree の核となるアイデアは、企業の組織図のような階層構造をエージェント配置に応用することだ。トップレベルのエージェントが全体目標を管理し、下位層のエージェントに詳細なサブタスクを割り当てる構造を持つ。

この設計により、AI が長期間にわたるタスク(例:複数ステップを要する家事、仮想環境でのミッション実行)を複数の小さな問題に分解し、各層が異なるレベルの抽象度で問題を解くことができる。

メモリシステムの統合で精度向上

ReAcTree は 2 つのメモリシステムを統合している。

  • エピソード記憶:過去に成功したタスク実行パターンを保存・再利用
  • ワーキングメモリ:現在の環境情報をリアルタイムで共有

この二層メモリにより、エージェントは「類似したタスクを以前に解いた方法」を思い出しながら、「現在の環境状況に合わせて最適化する」という動的な判断が可能になる。

ベンチマークで約 2 倍の成功率を実現

評価は ALFRED と WAH-NL という仮想家庭環境データセットで実施された。

72 パラメータモデルでの成功率比較:

手法成功率
従来型エージェント(ReAct)31%
ReAcTree61%

より小規模な 7B パラメータモデルでも 37% の成功率を達成。パラメータサイズによらず、階層的アーキテクチャがタスク成功率を大幅に向上させることが検証された。

応用分野と今後の展開

ReAcTree の応用対象は広い。家庭用ロボットの家事自動化、複合型クエリへの応答が必要な仮想アシスタント、多段階意思決定を要するシステムなど、現実世界のタスク実行が必要な領域で有用性が期待されている。

ETRI は このアーキテクチャを汎用的な LLM エージェント設計パターンとして提案しており、業界での採用が進むと見られる。