オーストラリアのビクトリア州で、AIデータセンター需要の波が沿岸部から内陸へ広がりつつあります。Syncline Energyが計画する「ビクトリアンAIハブ」は、メルボルン郊外の広大な敷地に建設予定で、地元の有力ショッピングモール「チャッツウッド」の約6倍の規模に相当します。

計画の実態と反発の動き

プロジェクト側は戸別訪問で地域住民に「ビクトリアンAIハブ」の構想を説明しているものの、すでに3,600人以上が「慎重なアセスメントを要求する」請願書に署名しています。この数字は、オーストラリアの地方都市が直面するインフラ拡張の選択肢に、一般市民も真摯に向き合い始めたことを示します。

背景にある北米・東アジアの競争

メルボルンをはじめとした豪州都市のデータセンター立地戦争は、アメリカやシンガポール、日本の地方自治体と競合する構図です。OpenAIがシドニーで60億ドルのAIハブを推進する中、メルボルンが後塵を拝しないよう大型投資を呼び込もうとする試みと言えます。一方で、電力網への負荷や環境への懸念は、北米での同様のプロジェクトでも繰り返し問題化しており、豪州の地形や気候条件でどう異なるかが焦点です。

今後の焦点

このプロジェクトが実現すれば、豪州のAIインフラ戦略は大きく変わります。ただし、地元3,600人の請願という声は、当地の政治プロセスにおいて無視できない動きです。オーストラリア内務省やビクトリア州政府が、どの程度慎重なアセスメントを実施するかが、今後6ヶ月のカギになるでしょう。