Microsoftが今週発表した新型Surfaceに、「Copilot+ PC」の表記が付いていないことが明らかになった。10月13日発売予定のSurface Pro 12インチ(第2世代)とSurface Laptop 13インチ(第2世代)は、いずれもCopilot+ PCの要件をすべて満たしているにもかかわらず、そのブランド名を掲げていない。

ハードウェア要件は満たすがブランドは消える

Surface担当のコーポレートバイスプレジデント、ブレット・オストラム氏はWindows Centralの取材に対し、新型Surfaceについて「これらはCopilot+ PCとは呼ばれていない」と明言した。「以前の基準が求める要件はすべて満たしている。エッジでのAI活用とハイブリッドソリューションという方向性には変わらず注力している」とも述べ、AI機能自体を撤回するわけではないと強調した。

Copilot+ PCは2024年にMicrosoftが導入した認証プログラムで、16GBのRAM、256GBのストレージ、そして毎秒40兆回以上の演算性能(TOPS)を持つNPU(ニューラルプロセッシングユニット)の搭載を条件としてきた。新型Surface Pro・Surface Laptopは、Qualcomm Snapdragon X2 Plusプロセッサと80TOPSのHexagon NPUを搭載しており、基準を大幅に上回る。

Qualcommのコンピュート部門シニアバイスプレジデント、ケダー・コンダップ氏もWindows Centralに対し、「Copilot+ PCという用語を使わずに、同じ体験を提供する方向に近づいている」と述べており、Qualcomm側もこの呼称を今後使わなくなる可能性を示唆した。

ブランド失速の背景

Ars Technicaによれば、Microsoftのブランド公式ページはすでに「Copilot+ PC」から「performance PC」向けのページへリダイレクトされるよう変更されており、5月時点ではまだ「Copilot+ PC」が前面に出ていたことがInternet Archiveの記録から確認できる。

失速の要因として、まずセキュリティ上の懸念が根強かった目玉機能「Recall」への批判が挙げられる。9to5Googleは、このブランドが単なるハードウェアチェックリストと化し、中堅以上の性能を持つノートPCならほぼすべて要件を満たしてしまうため、消費者にとっての差別化要因になっていなかったと指摘する。

さらに、クラウドベースのAIサービスが広く使えることから、端末上でAI処理を完結させる必要性自体が薄れているとの分析もある。市場調査会社IDCのアナリストはArs Technicaに対し、「オンデバイスとクラウドのどちらでも使えるという消費者の無関心さが、大量のRAM搭載を必須としない方向にPCメーカーを向かわせるかもしれない」と述べている。実際にDellも2025年に打ち出した「AI PC」ブランドを2026年モデルではほとんど前面に出していない。

読者への影響

今後、Windows PCを選ぶ際に「Copilot+ PC」というラベルを目印にする機会は減っていく見通しだ。Microsoftは今秋、Nvidia RTX Spark搭載の「Surface Laptop Ultra」も投入予定で、AI性能の訴求軸はNPUベースの省電力処理から、より高性能なGPUを使った処理へと移りつつある。AI PCという括り自体が、購入の決め手というより一機能の一つへと位置づけを変えていく可能性がある。