Googleが時系列予測モデル「TimesFM-3」公開、複数指標を同時にゼロショット予測
Google Researchが時系列予測の新モデルTimesFM-3を発表。複数の関連指標を同時予測でき、微調整なしで公開ベンチマーク最高水準の精度を達成した。
Google Researchが時系列予測向けの基盤モデル「TimesFM-3」を公開した。複数の関連する時系列データを同時に予測できる点が特徴で、タスクごとの追加学習(ファインチューニング)なしに、公開ベンチマークで最高水準の精度を達成したという。
単変量から多変量予測へ
従来のTimesFMシリーズは、1つの指標の推移だけを見て将来を予測する「単変量予測」が中心だった。TimesFM-3はこれを拡張し、複数の関連指標を同時に予測する「多変量予測」に初めて対応する。過去にしか分からない特徴量(履歴共変量)に加え、将来の予定情報など既知の特徴量(動的共変量)も予測に組み込める。
モデルの規模は3億3000万パラメータで、1兆を超える時間データポイントで学習されている。Transformerベースの構造を採用し、32時間ステップを1つの「パッチ」として扱う。時間軸方向には因果的な注意機構、複数指標をまたぐ方向には全体を見渡す注意機構を交互に適用することで、1回の推論で予測期間全体を一括生成できる。従来モデルの多くが将来の値を1ステップずつ逐次生成していたのに対し、この一括生成方式は処理速度の面で優位になる。
ベンチマークで最高水準、微調整不要
GIFT-Eval、FEV-Bench、TIMEという3つの公開ベンチマークすべてで、TimesFM-3は事前学習済みの基盤モデルの中で最高ランクを記録した。ゼロショット学習に対応しているため、利用者はタスクごとにモデルを再学習させる必要がない。
具体例として、小売業の季節商品の販売予測が挙げられている。過去の販売データだけでなく、今後予定されているプロモーション情報を入力に加えることで、プロモーション実施日の売上が20%上昇するといった予測を、追加学習なしに導き出せるとしている。
開発者はすぐに試せる
TimesFM-3はGitHubとHugging Faceで公開済みで、開発者は今日から試すことができる。BigQueryとの統合も数週間以内に予定されており、企業のデータ基盤に組み込んだ需要予測や異常検知の自動化が現実的な選択肢になる。
売上予測や在庫管理、インフラの負荷予測など、複数の指標を横断的に扱う予測業務は多い。追加学習なしで実用レベルの精度が出るモデルが無償公開されたことで、これまで専門のデータサイエンティストが個別にモデルを構築していた領域に、より手軽に取り組めるようになりそうだ。