Anthropicでファインチューニングを担当するエンジニア、Jackson Kernion氏が、性能が向上しているにもかかわらずClaudeの文章の読みやすさが低下している理由をX上で解説した。数学やコード生成への最適化と自然な文章表現が学習過程で競合しているためだと説明している。

コード最適化と引き換えに失われる文章の自然さ

Kernion氏によると、新しいモデルは数学やコーディングの性能向上を優先して学習されており、その結果として自然な文章表現の質が犠牲になる傾向があるという。モデルの推論能力を鍛える強化学習の過程で、人間にとっての読みやすさよりも、タスクの正確な遂行が優先されやすい構造になっているとの指摘だ。

「Claudeish」と呼ばれる文体の正体

Kernion氏はこの現象を「Claudeish」と名付けている。モデルが大量のAIモデル向け技術説明を学習した結果、人間ではなく「AIモデルの心理」に適応した文章を生成するようになり、情報を過度に密集させた読みにくい文章になってしまうという。強化学習の報酬設計において、AIモデルにとっての理解しやすさと人間にとっての理解しやすさが競合しており、人間が追いやすいシンプルな説明を明示的に報酬付けする必要があると同氏は述べている。

Opus 4.6を境に進んだトレードオフ

Kernion氏は、Opus 4.6を「最後の優れた文章モデル」と位置づけた。最新のOpus 5.5ではこのバランスの改善が試みられているが、完全な解決には至っていないとしている。

この説明は、Claudeを日常的な文章作成やライティング支援に使う開発者・ユーザーにとって、モデル選定の参考材料になる。性能ベンチマークの数字だけでなく、用途に応じて旧バージョンのモデルを使い分けるという選択肢も現実的になりつつある。