Anthropic が「Project Glasswing」を正式に発表し、サイバーセキュリティ向けに特化したフロンティアモデル「Claude Mythos Preview」を公開した。AWS、Apple、Microsoft、Google、NVIDIA など12社のローンチパートナーを擁し、AI による防御的セキュリティの実用化を目指すプロジェクトだ。

Project Glasswing とは

Project Glasswing は Anthropic が主導するサイバーセキュリティ AI イニシアティブで、名称は「透明な翼で隠れる」グラスウィング蝶(Greta oto)に由来する。隠れた脆弱性を発見し、Anthropic が掲げる透明性を体現するという意味が込められている。

40以上の組織が重要ソフトウェアのセキュリティ強化のためにアクセスを与えられており、Anthropic は今後90日以内に発見内容を公開する予定だ。

Claude Mythos Preview のベンチマーク成績

Mythos Preview は Opus 4.6 を各指標で大きく上回る成績を記録した。

サイバーセキュリティ (CyberGym)

モデルスコア
Mythos Preview83.1%
Opus 4.666.6%

エージェント型コーディング

ベンチマークMythos PreviewOpus 4.6
SWE-bench Verified93.9%80.8%
SWE-bench Multilingual87.3%77.8%
Terminal-Bench 2.082.0%65.4%
SWE-bench Pro77.8%53.4%
SWE-bench Multimodal59.0%27.1%

推論

ベンチマークMythos PreviewOpus 4.6
GPQA Diamond94.6%91.3%
HLE (ツールあり)64.7%53.1%
HLE (ツールなし)56.8%40.0%

BrowseComp では Opus 4.6 比 4.9 倍少ないトークンで同等以上の精度も達成している。

実際に発見した重大な脆弱性

Mythos Preview はプレビュー期間中に実在する脆弱性を複数発見し、修正済みとなっている。

  • OpenBSD: 27年前から存在し、接続中の任意のマシンをリモートクラッシュさせる欠陥
  • FFmpeg: 16年前のバグ。自動ツールが約500万回実行しても検出できていなかった
  • Linux カーネル: チェーン脆弱性を組み合わせてマシン全体の制御権を奪う権限昇格の欠陥

未修正のものはパッチ適用待ちとして暗号化ハッシュで開示されている。

価格とアクセス方法

Claude Mythos Preview は一般向けリリースは現時点で予定されていない。プレビュー後の価格は入力 $25・出力 $125(100万トークンあたり)で、Claude API、Amazon Bedrock、Vertex AI、Microsoft Foundry の各プラットフォームで利用可能となる。

Anthropic は最大1億ドルのモデル利用クレジットをコミットしており、オープンソースへの寄付として Alpha-Omega・OpenSSF(Linux Foundation 経由)に $250万、Apache Software Foundation に $150万を拠出する。参加を希望する開発者は「Claude for Open Source」プログラムから応募できる。

初出時(2026年3月)の状況

本記事は当初、THE DECODER が報じたリーク情報をもとに執筆された。流出したドラフトには「Claude Mythos」という名称候補が複数含まれており、現行の Opus 世代を大きく上回るベンチマーク成績が示されていた。セキュリティ対策を重視する姿勢と、公開を段階的に遅らせる戦略についても言及があった。名称の由来は古代ギリシャ語の「語り」「物語」を意味する mythos だ。その後、2026年4月に Anthropic が Project Glasswing として正式発表し、リーク段階の情報の多くが事実であることが確認された。