OpenAI の創業者 Sam Altman と Elon Musk が対立している法廷訴訟が進行中です。このたび、Greg Brockman(OpenAI 会長兼共同創業者)と Shivon Zilis(Neuralink 幹部)の証言から、2017 年の決裂劇とその後の経営スタイルの相違が明らかになりました。

2017 年の支配権要求——「完全統制」を求めたMusk

OpenAI が営利企業への転換を検討していた 2017 年 8 月、Musk は経営支配権について強気に出ました。Brockman の証言によると、Musk は交渉テーブルで以下を要求しました:

「会社の完全な支配を求める」

OpenAI の創業者たちがこれを拒否し、代わりに「同等の株式保有」を提案すると、Musk の態度は一転します。Brockman は「怒り出した」と述べており、Musk は テスラの絵画を掴んで「いつ OpenAI から去るつもりか」と詰め寄ったと証言しています。

テスラでの「ライバル AI ラボ」立ち上げ計画

Wired の報道から明らかになったのが、Musk がテスラ内で OpenAI に対抗する AI ラボの立ち上げを企図していたということです。

2017 年当時、Shivon Zilis(当時 Neuralink 幹部で、後に OpenAI ボード在籍)とテスラの幹部たち間で、以下の計画が検討されていました:

  • テスラ内に独自の AI ラボを立ち上げる
  • 可能であれば Sam Altman または Demis Hassabis をそのリーダーに据える
  • OpenAI に対する独立した開発体制を構築する

この構想が実現していれば、Musk 支配下での AI 開発拠点が誕生していたはずです。

決裂と2018年の撤退

交渉が破談に終わると、Musk は OpenAI への資金供給を停止しました。その後 2018 年 2 月、Musk は自主的に OpenAI のボードから身を引きます。

このとき Musk が述べた言葉が「OpenAI は一定の失敗の道を進んでいる」。しかし実際には、その後 OpenAI は Microsoft から数十億ドル規模の投資を獲得し、ChatGPT で業界を支配することになったのです。

現在の訴訟の焦点

Musk の 2024 年の訴訟は、OpenAI が非営利から営利転換する際に、自分を除外したことについての不満に根ざしています。訴訟では、Altman と Brockman が「違法に」nonprofit を for-profit に転換し、Microsoft の投資でユーザー(自分)を除外したと主張しています。

他の関係者の見方

Twitter/X オーナーの Barry Diller は、OpenAI CEO Sam Altman のことを信頼していると述べながらも、「AGI が近づく中では信頼は無関係だ」と警告しています。これは、AI が人類に与える影響の大きさが増すにつれ、企業統治と信頼のあり方そのものが問い直されるべき段階に入ったことを示唆しています。

この訴訟は単なる企業間の金銭紛争を超えて、AI 企業の初期段階での経営支配、透明性、利益配分のあり方についての根本的な問いを社会に投げかけています。