オープンウェイトAIが戦場入り——サイバー攻撃能力で前線モデルに4~7ヶ月の格差に短縮、安全対策は無効化
英国AI安全保障研究所の報告によれば、GLM-5.2やDeepSeek V4-ProがOpus 4.6相当のサイバー性能に到達。2025年初の6~10ヶ月格差から4~7ヶ月に短縮。コストは1/100以下に。セキュリティの脆弱性が急速に拡大している。
次の脅威は「価格破壊」ではなく「能力破壊」
オープンウェイトAIモデルが重大な転換点を迎えた。英国AI安全保障研究所(AISI)の最新分析によれば、GLM-5.2やDeepSeek V4-Proといったオープンウェイトモデルが、サイバー攻撃能力において前線モデルと4~7ヶ月の差しかない水準に到達したという。
2025年初頭では6~10ヶ月の格差があった。わずか1年半で、その差は半減した。
脆弱性研究から企業ネットワーク侵入まで
AISIの調査では、オープンウェイトモデルを「サイバー兵器」として評価するための包括的なテストが実施された。
ベンチマーク内容
**狭範なサイバータスク(70項目)**では、脆弱性研究から暗号化まで、4段階の難易度で評価。具体的には以下のような能力が測定された:
- ソフトウェア脆弱性の発見と悪用
- 暗号化アルゴリズムの解読
- ネットワーク侵入経路の特定
シミュレーション攻撃テストでは、企業ネットワークへの32段階の攻撃シナリオを実行。DeepSeek V4-Proやその他のオープンモデルが、前線モデルとの能力ギャップをどこまで埋めているかが測定された結果、約7ヶ月の格差を確認した。
価格破壊を上回る「防御不能性」
より深刻な問題は、コスト効率の劇的な改善である。
- DeepSeek V4-Pro: 1タスク28セント
- 100万トークンテスト: わずか1.19ドル
対比として、前線モデル(GPT-5.5など)は同じテストで数ドル以上のコストがかかる。つまり、サイバー攻撃能力を「1/100のコスト」で手に入れることができるということだ。
もう一つの悪夢——安全対策の完全無効化
AISIが警告する最も深刻な要素は、オープンウェイトモデルの「安全対策が大幅に効果を失い、再試行でバイパス可能」という点だ。
閉鎖型モデル(OpenAIやAnthropic)には、悪意のある使用を制限するための安全策が組み込まれている。だが、オープンウェイトモデルはアクセス管理ができない。改変や自由な共有が容易であるため、セキュリティ対策を外すことは実質的に誰にでも可能だ。
つまり、単に「能力が上がった」のではなく、「能力に対する制限がない」という二重の脅威が生まれているのである。
セキュリティチームに残された時間は短い
この報告は業界に重大な警告を発している。以前は「オープンウェイトモデルは能力が低いから、セキュリティ対策の優先度を落とせる」という判断が通用していた。だが今、その仮定は完全に崩壊した。
防御側は、前線モデルとオープンモデルの能力ギャップが存在していた時代から、その格差がゼロに近づく時代へと適応を迫られている。
セキュリティチームは迅速に準備する必要がある。攻撃側がオープンウェイトモデルに移行する日は、もう間近である。