Oracleは、ニューメキシコ州で建設中のAIデータセンター「Project Jupiter」の開発元であるBlue Owl Capital傘下のStack Infrastructureに対し、不可抗力(force majeure)通知を送付した。OpenAI・SoftBankと共同で進める1650億ドル規模のStargate計画の一角を担う施設で、2028年の稼働目標に間に合わない場合に支払いを遅らせられるようにする狙いがある。通知を受けてOracle株は約4%下落した。

ガスパイプラインの許可が2度却下

出力容量2.45ギガワットを見込むこの施設は、Bloom Energy製の固体酸化物形燃料電池で稼働する設計になっている。ところが燃料となる天然ガスを供給するEnergy Transfer社のパイプライン計画が難航しており、稼働予定は当初より約6ヶ月遅れの2027年2月1日にずれ込んだ。

ニューメキシコ州土地委員会のステファニー・ガルシア・リチャード委員は、環境排出と水資源への負荷を理由に、3月と7月の2度にわたってパイプラインの許可を却下している。11月23日には別の大気質許可の期限も控えており、地域住民や環境団体からの反対も政治的な焦点になっている。

Oracleは撤退を否定、融資への影響も

Oracleは「Project Jupiterは予定通り進行しており、ニューメキシコ州への完全なコミットメントを保持している」と公式に説明し、施設からの撤退は否定している。Blue Owl Capital側も「本通知はこの複数年プロジェクトへの財務的コミットメントを変えない」と応じた。

一方で、この施設には約20行の銀行団による180億ドル規模の融資が組まれており、関連する債券は額面90セントを下回る水準まで下落している。今回の不可抗力通知を受けてOracle株だけでなくBlue Owl株も約4%、Bloom Energy株も6%下落しており、市場はさらなる許可遅延のリスクを織り込み始めている。

AIインフラ拡張の限界を示す事例

Stargateは総額4000億ドル規模とされる巨大インフラ計画だが、今回の一件は計算能力の確保がエネルギー供給網という物理的な制約に左右されることを改めて浮き彫りにした。AIデータセンターの建設ラッシュが各地で進む中、電力・ガス供給や環境許可といった地域インフラのボトルネックが、計画全体の進行速度を左右する要因として一段と重みを増している。