調査会社BloombergNEFの新しい予測によると、米国のデータセンターは2035年までに1日あたり180億立方フィートの天然ガスを消費するようになる見通しだ。これはドイツと日本の現在の消費量を合わせた水準に相当し、約9カ月前の予測からほぼ倍増している。AI向け計算資源の拡大が、想定を超えるペースで電力・ガス需要を押し上げていることを示す数字だ。

予測の内訳

BloombergNEFの試算では、電力部門全体のガス消費量は2035年までに1日540億立方フィートに達し、2025年比で180億立方フィート増える。このうち、データセンターがオンサイトで発電するために建設する天然ガス発電所が1日29億〜34億立方フィート、送電網に接続するデータセンターが電力会社経由で押し上げる需要が1日150億立方フィートを占める。新規に接続される送電網の69%が天然ガス由来になる見込みで、今後10年間のガス需要増加要因としてはLNG輸出に次ぐ規模になるという。

反対運動の拡大

需要急増の裏で、データセンター建設への反発が全米の都市に広がっている。フィラデルフィアのグレイズフェリー地区では、2019年に爆発事故を起こした石油精製所の跡地に近い住民が、健康被害への懸念からデータセンター建設反対運動を展開している。デンバー、インディアナポリス、アッシュビル、シャーロット、レノなど複数の都市がすでに建設モラトリアムを承認し、ニューヨーク州知事は光熱費や水不足への懸念から大規模プロジェクトの許可を一時停止する行政命令に署名した。

読者への影響

データセンター向け発電所の建設ラッシュは、天然ガス価格の上昇圧力につながる可能性がある。業界内では「天然ガスが安価だった時代の終わり」との指摘も出ており、電気料金上昇という形で一般家庭にも影響が及ぶ恐れがある。CO2排出量も1日あたり100万メートルトン増加すると見込まれ、これは米国の現在の総排出量の約12%に相当する。AI投資の加速がエネルギーインフラと地域社会の双方に及ぼす負荷は、今後の建設計画の是非を左右する論点になりつつある。