Trump 政権が AI セキュリティ令に署名、フロンティア・モデルの事前審査と情報交換所の設立を指示
Trump 政権は 2026 年 6 月 2 日、AI セキュリティに特化した行政令に署名した。フロンティア・モデルの公開前 30 日以上の審査、重大インフラのサイバー脆弱性検出用 AI 情報交換所の設立が柱だが、強制的な規制は禁止されており、実効性に疑問も残る。
Trump 政権は 2026 年 6 月 2 日、AI セキュリティに焦点を当てた行政令に署名した。前月の December 2025 令が「最小限の負担」で制限的な州法を抑制することを目指していたのに対し、新令は「セキュリティ上の懸念」に直接対処する姿勢を示している。
フロンティア・モデルの事前審査と情報交換所
新令の主要な骨子は以下の通りだ。
第一に、最先端(フロンティア)の AI モデルが公開される前に、政府が「30 日以上の審査期間」を設定する仕組みを構築する。第二に、重大インフラのサイボーグ防御強化と、サイバー脆弱性を検出・修正するための「AI セキュリティ情報交換所」を設立する。
強制規制を禁止する矛盾
ただし、新令には重大な限界がある。テキストに「mandatory governmental licensing, pre-clearance, or permitting requirement(強制的な政府許可制度、事前承認、認可要件)を認可することを明示的に禁止」と記載されている。つまり、企業の協力は自発的であり、強制的な規制の枠組みが除外されているのだ。
AI 安全専門家は、商業的圧力が安全対策より開発速度を優先する傾向を懸念している。新令はセキュリティを掲げながらも、「強制的な規制を禁止する」という設定により、産業界への実質的な強制力を持たない可能性が高い。
December 2025 令との違い
2025 年 12 月の行政令との対比は、Trump 政権の AI 政策の複雑さを示している。December 令は「最小限の負担」と「州法抑制」を重視していたのに対し、June 令はセキュリティを前面に押し出している。しかし、どちらも「強制規制の回避」という基本方針は変わっていない。
この政策スタンスは、AI 産業の自主性を重視する立場である一方で、国家安全保障上のニーズに対応する必要から生まれた折衷案と見られる。業界からは、セキュリティと産業自由度のバランスをめぐる議論が続く見込みだ。