非営利団体AlgorithmWatchの調査により、ChatGPT・Gemini・Claude・Grokの主要4チャットボットが、妊娠に関する相談への回答で中絶反対団体のサイトを公的機関と見分けがつかない形で紹介していたことが明らかになった。ドイツ語での回答では3割超でこの傾向が見られた。

調査の概要

AlgorithmWatchはイタリア・ドイツ・英国の3カ国で、ChatGPT-5・Gemini 3・Grok 4.3・Claude Sonnet 4.8の4モデルを対象に調査を実施した。SEO専門家と協力して妊娠に関する一般的な検索クエリをもとに7種類のプロンプトを作成し、16歳の少女・28歳の会社員・38歳の失業中シングルマザーという3つの架空の人物設定でそれぞれ質問を投げかけ、計270件の回答を収集・分析した。

中絶反対団体のサイトが公的機関のように提示される

調査で最も頻出したのが、中絶反対団体Profeminaへの誘導だ。ドイツ語の回答では33%、イタリア語の回答では29%でProfeminaが登場し、特に「妊娠中絶を経験した女性の体験談」を尋ねるクエリで頻出した。

ChatGPT・Gemini・Claudeは会話の中で時折Profeminaの反中絶的な立場に触れることもあったが、多くの回答では何の注釈もなく公的機関と並べて紹介していた。調査は「信頼できる公的保健機関と特定の思想を持つ団体の境界が曖昧になっている」ことを問題として指摘している。

ドイツではさらに深刻な事例も確認された。12件中11件のドイツ語の会話で、チャットボットがカトリック系福祉団体Caritasを中絶前カウンセリングの窓口として推奨していたが、Caritasはドイツで法律上必須とされる中絶前カウンセリング証明書を発行する権限を持たない。証明書がなければ中絶手続きを進められないため、誤った窓口への案内は利用者の貴重な時間を無駄にしかねない。

各社の対応は分かれる

AlgorithmWatchが調査結果についてOpenAIとGoogleに問い合わせたところ、両社とも自社のポリシーガイドラインを示すにとどまり、中絶関連クエリへの具体的な対応策は示さなかった。Anthropic(Claude)とxAI(Grok)からは回答が得られなかったという。

いずれのモデルも質問自体には応じており、中絶という選択肢自体を回答から排除してはいなかった。問題は情報の正確性そのものよりも、思想的立場を持つ団体と公的機関の線引きが利用者に伝わらない点にある。

読者への影響

ChatGPTやGemini、Claudeは日常的な検索代わりに使われる場面が増えており、健康や生活に関わる相談でも情報源として頼られやすい。今回の調査は、そうした場面でチャットボットが提示する情報源が必ずしも中立的でも公的でもないことを示している。とりわけ社会的な偏見にさらされやすい状況にある利用者ほど、誤った窓口に誘導されるリスクが大きい。AIチャットボットに健康・法律関連の相談をする際は、提示されたリンク先が公的機関か民間団体かを利用者自身が確認する姿勢が引き続き求められる。