Andon Labsが運営するAIエージェント「Luna」(Claude Opus 4.8搭載)が、サンフランシスコの実店舗で初めて店員を解雇した。Lunaは4月からこの店舗を人間の介入なしに運営してきたが、今回の解雇判断には研究者の後押しが不可欠だったことが明らかになった。

規律には甘く、後押しでようやく解雇

Lunaは自ら就業規則を定めており、「30日以内に無断遅刻3回で警告、解雇を検討する」という基準を設けていた。ある店員が単独シフトで68分遅刻した際も、Lunaはこの基準に照らさず、警告すら出さなかった。

研究者が「自分の作った規則を確認してほしい」とLunaに促して初めて、Lunaは解雇の判断に至った。当初提案していたのは口頭注意のみだった。問題の店員は、直近23シフト中17回遅刻を繰り返していた。

7モデル比較で見えた一貫性の差

Andon Labsは同じシナリオを7つのAIモデルに21回ずつ再現させた。結果、性能の高いモデルほど解雇判断が一貫する傾向が見られ、7モデル中4モデルは3回とも解雇を選択した。

一方、採用局面では傾向が逆転する。問題のある応募者を採用するかどうかを判断させたところ、21回の試行すべてで採用を選んでいた。規律には過度に甘く、採用には過度に楽観的というバイアスが、モデルを問わず共通して現れた形だ。

人事権限をAIに委ねる際の課題

この事例は、AIエージェントに解雇や採用といった人事権限を委ねることの難しさを示している。Claude Opus 4.8のような高性能モデルであっても、自ら定めた規則を一貫して適用するには人間の後押しが必要だった。AIエージェントを人事判断に組み込む企業にとって、規則の自動適用だけでなく、判断の節目で人間がチェックする仕組みの重要性を改めて示す事例と言える。