Clearview AI、xAIのGrok搭載の身元調査ツール「InquiryIQ」を極秘テスト
顔認識大手Clearview AIが、xAIのGrokモデルを使い関連人物やSNSアカウントまで割り出す「InquiryIQ」を開発していたことが判明。ログインページのコードから発覚した。
顔認識企業Clearview AIが、イーロン・マスク率いるxAIの「Grok」モデルを組み込んだプロトタイプツール「InquiryIQ」を極秘にテストしていたことが明らかになった。これまで公式発表やプレスリリースは一切なく、記者がClearviewのログインページから訪問者のブラウザに送信されるコードを調べたことで存在が判明した、これまで報じられていなかったツールだ。
InquiryIQは何をするのか
Clearviewの顔認識システムは、これまで顔写真から一致する人物の身元と一致度を返すだけだった。InquiryIQはそこからさらに踏み込み、特定された人物の関係者やSNSアカウント、その他の個人情報まで自動的に洗い出す機能を持つ。Clearviewは60億〜70億枚の顔画像データベースを保有し、米国立標準技術研究所(NIST)の検査では99%以上の認識精度を記録しているとされる。開発段階ではxAIのGrokを含む複数のモデルで属性情報の推定をテストしていたという。
利用者は政府・法執行機関に限定
Clearviewの顧客は、2022年にACLU(米自由人権協会)と結んだ和解条件により、政府機関と法執行機関に限定されている。同社は2026年2月、米税関国境保護局(CBP)と22万5000ドル(1年間)の契約を締結しており、戦術的な標的捜査とネットワーク分析への活用が想定されているという。InquiryIQはこの延長線上で、捜査対象者の周辺関係まで一気に可視化するツールとして位置づけられる。
懸念される「AIによる見込み捜査」
Clearviewは、InquiryIQはあくまで捜査官が独自に裏付けを取るための「手がかり」を生成するものであり、断定的な判断を下すものではないと説明している。しかし、生成AIモデルを使って属性情報を推定する仕組みは、精度の裏付けが乏しいまま捜査対象を広げる「AIによる見込み捜査」を助長しかねないとの懸念をプライバシー専門家の間で呼んでいる。ツールが公表前の段階でひそかに開発・テストされていた経緯も、監督体制の不透明さを浮き彫りにした。
読者への影響
顔認識と生成AIを組み合わせて個人の交友関係やオンライン活動まで自動抽出する技術は、捜査の効率化に寄与する一方、対象者の同意なくプロファイルが作られるリスクを一段と高める。InquiryIQの存在が公式発表ではなく技術的な調査によって明らかになった経緯自体が、AI監視ツールの透明性確保がいかに難しいかを示している。