DeepSeekがHuawei製AIチップ16万個超を発注、中国最大級の推論クラスタを内モンゴルに構築へ
DeepSeekが内モンゴルの新データセンターにHuawei製Ascend 950DTチップを16万個以上導入する計画。中国製アクセラレータとしては過去最大級の規模で、学習は引き続きNvidia製に依存する二段構え戦略だ。
中国のAI企業DeepSeekが、内モンゴルに新設するデータセンターにHuawei製AIアクセラレータ「Ascend 950DT」を16万個以上導入する計画を進めている。実現すれば中国製AIチップとしては過去最大級のクラスタとなる。Bloombergなど複数メディアが関係者の話として報じた。
半年前の1万個クラスタから16倍の規模へ
中国国内で初めて公に確認された1万個規模のHuaweiチップクラスタが稼働したのは、わずか半年ほど前のことだ。DeepSeekが計画する16万個超のクラスタは、その規模を大きく上回る。データセンター全体はギガワット級の電力を要する設計で、フル稼働時には一般家庭約75万世帯分に相当する電力を消費する見込みだという。
用途は推論、学習は引き続きNvidiaに依存
今回導入されるAscend 950DTチップは、モデルの推論処理に充てられる。一方でモデルの学習には、これまで通りNvidia製ハードウェアを使い続ける方針だとThe Decoderは伝えている。学習と推論でハードウェアを使い分ける二段構えの戦略だ。
象徴的なのは、DeepSeekの最新モデル「V4」がHuaweiのAscendチップ向けに最適化されたアーキテクチャを採用している点だ。TrendForceの報道は、これを国産ハードウェアを単なる「代替」ではなく、主力の選択肢として扱い始めた意思決定だと位置づけている。
供給網のボトルネックが立ちはだかる
計画の実現には大きな制約が伴う。Huaweiの生産能力そのものが最大のボトルネックで、今回の発注を全量納品するには1年以上かかる可能性がある。加えて、高性能メモリチップの不足も響く。
中国のメモリメーカーCXMTは高帯域幅メモリ「HBM3E」の小規模生産をようやく開始した段階で、Samsung・SK Hynix・Micronなど先行する海外メーカーとの技術差は3〜5年とされる。この結果、Ascend 950DTの年内出荷数は数十万個規模にとどまる見通しだ。
中国のAI自給戦略における意味
この動きは、米国の対中輸出規制を背景に、中国が半導体の対外依存を減らそうとする国家戦略の一環と重なる。DeepSeekのような有力AI企業が自社の主力モデルをHuaweiチップ向けに最適化し始めたことは、中国国産チップの性能が「実用レベル」に達しつつあるという業界内の評価を裏付ける材料となる。
生産能力の制約から実際の稼働開始には時間がかかる見通しだが、中国のAIインフラが計算資源の面で対外依存からの脱却を段階的に進めていることを示す事例といえる。