Metaを集団訴訟、Facebook・Instagram画像で秘密裏に顔認識AI「NameTag」訓練
MetaがFacebookとInstagramの画像を無断で使い、スマートグラス向け顔認識システム「NameTag」や画像生成AI「Emu」「Muse Image」を訓練したとして集団訴訟を提起された。
Metaが、FacebookとInstagramに投稿された利用者の画像を無断で使い、スマートグラス向けの顔認識システム「NameTag」や画像生成AI「Emu」「Muse Image」を訓練したとして、集団訴訟を提起された。9月4日、イリノイ州北部地区連邦地裁に提起された訴状は66ページに及び、Meta社内の未公開プロジェクトの存在を明らかにしている。
訴訟の内容
原告側の主張によれば、Metaは利用者がアップロードした顔写真から生体情報を抽出し、Ray-BanやOakleyのスマートグラスに搭載する未リリースの顔認識システム「NameTag」の訓練・テストに使用した。NameTagは、メガネのカメラが捉えた顔を「顔紋」と呼ばれる生体データに変換し、スマートフォンに保存された顔認証データベースと照合する仕組みだという。この存在は2026年6月にWIREDの報道で明らかになっていた。
訴状はさらに、画像生成AI「Emu」と「Muse Image」の訓練にも同様の画像データが使われたと主張する。Emuは当初、11億件の画像・テキストペアで訓練されたとされ、Meta幹部自身がInstagram画像をEmuの訓練に使用したことを認めているという。
法的根拠と求める救済
訴訟は、イリノイ州の生体情報プライバシー法(BIPA)違反を主な根拠とする。BIPAは、企業が生体情報を収集する際に書面による事前通知と同意取得を義務付けており、違反時の賠償額は故意・重過失の場合1件あたり5,000ドル、過失の場合は1,000ドルと定められている。訴状はこれに加え、カリフォルニア州法上のパブリシティ権侵害やプライバシー侵害も主張している。
対象となる集団は、2021年9月4日以降にFacebookやInstagramへ画像をアップロードした米国居住者、および生成AIモデルへのプロンプトを通じて画像を提出した利用者を含む全国規模のクラスと定義されている。原告側は懲罰的損害賠償や差止命令、弁護士費用の支払いを求めている。
過去の和解が示す規模
Metaは過去にも顔認識関連の訴訟で大規模な和解に応じてきた。Facebookの顔タグ機能を巡るBIPA訴訟では6億5,000万ドルを支払っており、テキサス州とは14億ドルで和解している。今回の訴訟がこれらと同水準の規模に発展すれば、Metaの財務や生成AI開発体制に相応の影響を与える可能性がある。
生成AIモデル内部の数学的表現(埋め込みベクトルなど)が法的に「生体情報」とみなされるかどうかは、今回の訴訟が示す新たな争点だ。この判断次第では、画像を学習データに使う他の生成AI企業にとっても、データ収集・同意取得のあり方を見直す契機になり得る。