Moonshot AI、Kimi K3をAzure・AWS・Google Cloudでホスティング交渉、中国AI初の米クラウド提携なるか
中国のMoonshot AIが、Microsoft・Amazon・Googleの3社と収益分配契約を交渉中。実現すれば中国AI企業として初めて米大手クラウドで大規模ホスティングされる事例になる。
中国のAIスタートアップ、Moonshot AIがMicrosoft・Amazon・Googleの3社と収益分配契約の交渉を進めている。実現すれば、中国のAI企業が米大手クラウドプロバイダーと結ぶ初の大型パートナーシップとなり、自社モデルをAzure・AWS・Google Cloud上で正式にホスティングできるようになる。
何を交渉しているのか
対象となっているのは、Moonshot AIが開発した大規模言語モデル「Kimi K3」だ。2.8兆パラメータを持つ「オープンウェイト」モデルで、単独で運用するには膨大な計算コストがかかる。Moonshot AIはこのモデルをAzure・AWS・Google Cloud上でホスティングし、各社のクラウド経由でユーザーに提供したい考えだ。
Moonshot AIが求めている収益分配率は、K3関連サービスから得られる収益の最大30%。交渉はまだ初期段階にあり、合意に至る保証はない。すでにChinasoft Internationalなど、より小規模なクラウド事業者とは同様の契約を締結済みという。
未解決の争点
Reutersの報道によると、収益分配の具体的な方式に加え、データアクセス権とトークン利用量の監査方法が主な争点として残っている。トークンはAIモデルが処理するテキストの最小単位で、従量課金の算定根拠になるため、利用実態をどう検証するかが交渉の焦点だ。
交渉の背景には、Moonshot AIが準備を進める香港上場がある。同社は2025年5月の資金調達ラウンドで20億ドル以上を調達しており、IPOを見据えて事業基盤を固める動きの一環とみられる。
米中間の緊張という障害
この交渉には政治的な逆風もある。米財務長官のスコット・ベッセントは最近、Moonshot AIに対して貿易禁止の可能性を示唆した。米当局はMoonshot AIが Anthropicのモデル「Fable」を大規模に蒸留してKimi K3を開発したと指摘しており、Moonshot AI側はこの容疑を否定している。
米中間のAI技術をめぐる対立が続くなか、国際的なクラウド提携の可能性と規制リスクが同時に存在する状況だ。
実現すれば何が変わるか
このディールが成立すれば、西側製品より低コストとされる中国製AIモデルが、Microsoft・Amazon・Googleという主要クラウド経由で米国市場に一段と浸透する道が開かれる。開発者にとっては、使い慣れたクラウド環境からKimi K3のような高性能モデルに直接アクセスできる選択肢が増えることを意味する。一方で、米当局が指摘する知的財産や輸出規制をめぐる懸念が解消されない限り、交渉が最終合意に至るかは依然として不透明だ。