Alibaba傘下のQwenチームが、新型モデル「Qwen3.8-Flash-Next」を公開した。次世代の「Qwen4」アーキテクチャのプレビュー版と位置づけられており、大規模モデルに匹敵する性能を大幅に低いコストで実現することを狙っている。

総125億パラメータ、実際に動くのは60億のみ

Qwen3.8-Flash-Nextはミクスチャー・オブ・エキスパート(MoE)構成のモデルで、総パラメータ数は125億に達するが、1トークンあたりに実際にアクティブ化されるのは60億パラメータのみだ。

特徴的なのは、510億パラメータを保持するN-gram埋め込みレイヤーをGPUメモリではなくシステムRAM上で動作させる設計だ。この構成により、推論に必要なGPUメモリを抑えながら大規模なパラメータを扱えるようにしている。コンテキストウィンドウはネイティブで26万2144トークンに対応し、YaRNを使えば最大100万トークンまで拡張できる。

訓練コストは前モデルの9分の1

Alibabaによれば、Qwen3.8-Flash-Nextの訓練コストは、既存モデルのQwen3.7-Plusと比較して約9分の1に抑えられている。性能面では、コーディング関連のベンチマークでDeepSWE 58.7、SWE-bench Pro 62.5を記録し、オフィス業務を想定したCoWorkBenchで73.9、JobBenchで55.7というスコアを出している。

料金体系も際立って安い。入力は100万トークンあたり0.16ドル、出力は0.47ドルで、Alibabaのフラグシップモデル「Qwen3.8-Max」と比べて約12分の1のコストに設定されている。

価格競争の加速と収益性への懸念

Qwen3.8-Flash-Nextの投入により、低コストで高性能なAIモデルへのアクセスがユーザー・開発者にとって一段と広がる見通しだ。一方で、各社が訓練・推論コストの削減を競い合う構図が強まるほど、AIプロバイダー側の収益性に対する懸念も同時に高まっている。

Qwen4本体の正式リリース時期は明らかにされていないが、Qwen3.8-Flash-Nextはそのアーキテクチャの方向性を先取りして示すモデルとして位置づけられており、次期フラグシップの設計思想を占う材料になりそうだ。