OpenAIがChatGPT Healthの対象を一般ユーザーから医療従事者へと広げた。電子健康記録(EHR)大手Epicとの連携を発表し、臨床医がChatGPT上で患者の診察記録や検査結果を直接参照できるようになる。Epicは全米で3億2500万人分の患者データを扱う最大級のシステムであり、医療現場でのChatGPT活用が一段階進んだことを意味する。

医療従事者向けに何が変わるか

新機能を使えるのは、OpenAIとBusiness Associate Agreement(医療情報保護に関する業務提携契約)を締結した医療機関の臨床医に限られる。ChatGPT上でEpicに登録された患者の診察記録、検査結果、処方薬の履歴、専門医の所見などを呼び出し、時系列で整理された臨床タイムラインとして確認できる。診察前の準備や、患者の状態変化を素早く把握する用途を想定している。

重要な制約として、ChatGPTからEpicの患者記録への書き込みはできない「読み取り専用」アクセスに限定されている。カルテの誤記入や意図しない変更を防ぐ設計だ。

Healthcare Public Dataプラグインも同時提供

今回の発表では、医療従事者向けの新プラグイン「Healthcare Public Data」も併せて公開された。ClinicalTrials.gov(治験データベース)、CMS(米国メディケア・メディケイドサービスセンター)、RxNorm(薬剤名の標準用語集)、PubMed(医学論文データベース)といった公的データソースにChatGPT上からアクセスできる。臨床医が患者に適した治験の適格性を調べたり、処方薬の相互作用情報を確認したりする作業を、ChatGPT内で完結させられる。

診断・治療目的の利用には慎重姿勢

OpenAIは今回もChatGPT Healthを診断や治療の代替として使うことは想定していないと強調している。同社はこれまでにChatGPTの医療関連の回答をめぐって複数の訴訟に直面しており、医療現場での安全性には引き続き慎重な姿勢を崩していない。

ChatGPT Healthは2026年7月に一般ユーザー向けに全米展開されたばかりで、Apple HealthやEpic、Oracle Healthとの連携が既に組み込まれていた。今回の発表は、その連携を一般ユーザーの健康管理から、臨床現場での診療支援へと用途を広げるものだ。医療機関側の導入判断とデータセキュリティ運用が、実際の普及ペースを左右することになる。