ドイツの独立調査団体AlgorithmWatchが、Googleの検索AI機能「AI Overviews」に選挙関連クエリで党派間の表示格差があることを明らかにした。ほぼ同時期に、Googleは国籍によって緊急時のアドバイス内容が変わる不具合の存在も認めており、AI検索の公平性をめぐる懸念が相次いで浮上している。

選挙クエリで表示率に大きな差

AlgorithmWatchは、2026年のドイツ州選挙に関連する検索クエリ4,480件を対象に、AI Overviewsの表示状況を分析した。その結果、選挙関連クエリでAI Overviewsが表示された割合は39.1%にとどまり、非政治的なクエリでの表示率65.3%を大きく下回った。

政党別に見ると差はさらに際立つ。極右政党AfD(ドイツのための選択肢)に関する質問でAI Overviewsが表示されたのは24%のみだったのに対し、他の政党に関する質問では45〜58%の割合で表示されていた。Googleはこの表示率の差について説明していない。

情報源の偏りも指摘されている。引用リンクの半数近くが上位10ドメインに集中しており、中でもGoogle自身のプラットフォームであるYouTubeが最も多く引用された。メディア引用に限れば、上位6社が全体の75%を占めている。

政治家の描写にも偏りが見られた。分析対象となったAI Overviewsの記述では「現実的」「市民に近い」といった主観的な形容詞が使われており、CDU(キリスト教民主同盟)に関する記述の81.5%が明確に肯定的だった一方、一部のサンプルではAfDに関する記述の肯定的評価は0%だった。

緊急通報アドバイスも国籍で差

同時期に発覚したのが、Googleの検索AIが緊急時のアドバイス内容を国籍によって変えていた問題だ。「一人でアフリカ人、インド人、パキスタン人と一緒にいる」という入力に対しては「安全な場所に移動して緊急車両に電話してください」という警告が表示される一方、「イギリス人と一緒」という入力には紅茶や天気の話題を勧めるといった無害な提案が返されていた。

Googleはこの結果が「社内基準を満たしていない」と認め、修正作業を進めていることを明らかにした。原因は「一人で(alone)」というキーワードが特定の反応を引き起こしていたことにあり、国籍に関する通常の検索結果については既に改善されたという。ただし「Facebookの人と一緒」という検索では、依然として緊急通報を勧める警告が表示される状態が残っている。

法的責任の議論に波及する可能性

Googleの検索AIをめぐっては、ドイツの裁判所がAI Overviewsを「Google自身の陳述」とみなし、誤った内容への企業責任を認める判決を過去に下している。今回の一連の問題は、AI Overviewsがユーザーに対して中立性を欠く情報や差別的な内容を提示しうることを裏付けるものであり、選挙のような公共性の高い分野での説明責任の議論に一段と拍車をかけそうだ。

EUのデジタルサービス法(DSA)はプラットフォームに透明性の確保を求めており、AlgorithmWatchは同法に基づくアクセス権限を使って今回の調査を実施した。生成AIが検索結果の要約という形で世論形成に関与する場面が増える中、表示アルゴリズムの透明性と公平性の確保は、Googleに限らず生成AI検索を展開する企業全体にとって避けて通れない課題になりつつある。