Anthropic の最新 AI モデル Claude Mythos が、1946 年からの難題「エルデシュの単位距離予想」を解いた。証明は「かわいい、シンプル」と評価される一方、この成功が示すのは、AI 駆動型の数学発見に「深刻な余力」が存在するという衝撃的な事実である。

エルデシュ予想とは何か

エルデシュの単位距離予想は、ハンガリーの数学者ポール・エルデシュが 1946 年に提起した離散幾何学の問題である。直感的には単純に見えるが、80 年近く未解決のままだった。OpenAI が数週間前にこの問題を解いたばかりで、業界から注目を集めていた。

Mythos がこの同じ問題を、わずか「週末」で解いてしまったのだ。

Mythos による解法の特徴

Anthropic のエンジニア Sholto Douglas は、この証明を「かわいい、シンプルな証明」と評価した。チームは複数の独立した Claude Code インスタンスを並行実行するテストシステムを構築し、各インスタンスが異なるアプローチから解法を発見。その結果を統合して完成させたという。

数学者 Daniel Litt の評価によれば、OpenAI の証明がやや優れているものの、Mythos が発見した証明も質的には同等だと述べられている。同じ難問を複数の独立した AI システムが相次いで解く——これは表面上は「AI の能力が凄い」という話に見える。しかし実態はより深刻である。

「深刻な余力」が示す意味

Douglas は、この現象を「serious overhang in AI-driven math discoveries(AI 駆動型数学発見における深刻な余力)」と表現した。つまり、現在の AI モデルには、高難度の数学問題を解く能力がまだ十分に活用されていないほど豊富に存在するということだ。

Google DeepMind も最近、9 つのエルデシュ問題を解いている。複数の AI 開発企業が独立して同じタイプの難問を短期間で解くパターンが続くことで、AI の数学的能力の「奥行き」がいよいよ無視できない水準に達していることが確実になった。

業界への含意

この進展は、学術界・数学の研究コミュニティに対する警告信号でもある。高難度の問題が次々と AI によって解かれる時代に、人間の数学者は何をすべきか。OpenAI と Anthropic の競争を見ていると、「AI でも難しい問題」の定義自体が急速に更新されつつあることは明白だ。

同時に、このニュースは Anthropic にとって Mythos の能力を示す具体的なプルーフでもある。OpenAI の最新モデルと肩を並べて同じ問題を解く——その事実は、大規模言語モデルの競争地図を少しずつ塗り替えている。