個人AIエージェント「Instinct」が10万ユーザー突破、1カ月で評価額4倍の100億ドルに
電話やメッセージで日常業務を代行するAIエージェント「Instinct」が10億ドルのシリーズC資金調達を実施、評価額は100億ドルに達した。1日あたり約10%という成長速度が急騰の背景にある。
電話やメッセージで旅行予約や請求書支払いなどの日常業務を代行するAIエージェント「Instinct」が、Sequoia Capital、Benchmark、Coatueを引受先とするシリーズCで10億ドルを調達した。評価額は100億ドルに達し、8月時点の25億ドルからわずか1カ月で4倍に急騰している。急成長の背景には、マーケティング費用をかけずに1日あたり約10%という成長率が続いていることがある。
専用の電話番号とコンピュータでタスクを完遂
Instinctは、ユーザー専用の電話番号とコンピュータを使い、旅行の手配やレストラン予約、食料品の注文、サブスクリプションの解約といった作業を最初から最後まで自律的に処理する。オンライン予約に対応していない店舗には「Instinct Concierge」機能が電話をかけて交渉する。友人同士のInstinctが連携して予定を調整する「Trusted Person Network」や、iMessage経由での位置情報共有と提案機能も備えている。
The Informationの報道によれば、Instinctは9月15日時点で10万ユーザーを突破した。創業者のNoah Shinn氏は元Sierraの研究科学者で、MITとNortheasternで機械学習を研究し、コーディングベンチマークHumanEvalで91%の精度を達成した自己改善型フレームワーク「Reflexion」を開発した経歴を持つ。
課題も残る、収益非公表とプライバシー懸念
急成長の一方で、Instinctは有料ユーザー数や収益を公表していない。過去にはメールデータを接続解除後も平文で保持し、ユーザーの同意なく送信していた事例が報告されるなど、プライバシー・セキュリティ面の懸念も指摘されてきた。処理能力の逼迫も課題として挙げられている。
個人向けAIエージェント競争の激化
Instinctが位置するのは、Meta傘下の「Muse」など「オールインワン型AIエージェント」が乱立し始めた市場だ。Museはインスタグラムやフェイスブックとの連携という既存ユーザー基盤の強みを持つのに対し、Instinctは単体アプリとしての成長速度で対抗している。Shinn氏は今回の資金について「Instinctをより多くの人に届け、パーソナルAIの未来を築き続けるためのものだ」と述べており、同社はまだ拡大の初期段階にあるとの認識を示している。