個人向けAIエージェント「Instinct」が、全ユーザーに専用メールアドレスの提供を始めた。ユーザーの受信箱を経由せず、AIが自律的にアカウント登録やビジネスへの問い合わせ、カスタマーサポート対応をこなせるようにする機能だ。Instinctは23歳の創業者ノア・シン氏が率いるスタートアップで、2026年8月に評価額25億ドルで2億5000万ドルを調達したばかりの、いま最も勢いのあるAIアシスタントの一つとされる。

新機能の仕組み

新たに提供される専用メールアドレスを使うと、Instinctはユーザーに代わって独立してアカウントを作成・管理できるようになる。レストランへの特別リクエストや各種サービスの問い合わせなど、これまで人間が手作業で行っていたやり取りをAIが代行する想定だ。ユーザーがメールをInstinct宛てに転送すれば、AIが内容を読み取って必要な情報を抽出し、対応を進める。メーリングリストやグループスレッドへの参加にも対応しており、複数人とのやり取りが発生する場面でも活用できる。既存ユーザーには専用アドレスがすでに割り当てられているほか、新規ユーザーも「mail.instinct.com」から申し込めば即日利用を開始できる。

広がる自律機能と懸念

Instinctは直近で1Password連携によるログイン自動化、位置情報共有、Stripe連携による決済機能なども追加しており、メール機能はこうした自律的な代行機能群の延長線上にある。一方でTechCrunchは8月、Instinctがユーザーの端末画面や音声、位置情報まで広範に接続する設計について、プライバシーとセキュリティ面の懸念が高まっていると報じていた。アカウント管理やメールのやり取りまでAIに委ねる範囲が広がるほど、利便性と引き換えにどこまでの権限をAIエージェントに与えるかという判断が、ユーザー側によりいっそう求められることになる。