OpenAIがコーディングエージェント「Codex」に、タスクを自動的に継続させる「heartbeat automations(心拍自動化)」機能を追加した。同じスレッド内で文脈を保ったままスリープと復帰を繰り返し、オープンなプルリクエストの着地や進行中タスクのフォローアップ、動きの速い会話の追跡などを数日から数週間にわたって自走できる。

スレッドを保ったまま自動で起きて働く

OpenAIは公式X投稿で、「自動化は同じスレッド内で実行できるようになり、Codexは元の文脈を保ったまま中断した箇所から再開できる。将来の作業をスケジュールし、自動的に目覚めて長期タスクを継続することも可能だ」と説明している。これまでのCodexの自動化機能は都度新しいセッションを開始する形が一般的だったが、heartbeat automationsはモデル自身が同一スレッド内でタスクを更新・修正しながら継続稼働する点が異なる。OpenAI社内でも、Slackチャンネルの監視や受信トレイの仕分け、GitHubやNotionの状況把握といった用途に、この継続稼働型のエージェントを使っているという。

25時間・1300万トークンの連続稼働実験

OpenAIは同時に公開したブログ記事で、次世代モデル「GPT-5.3-Codex」を使い、デザインツールをゼロから作り上げる約25時間の連続実行実験を報告した。実験では約1300万トークンを消費し、約3万行のコードを生成、キャンバス編集やリアルタイム共同編集、インスペクタ、レイヤー管理、履歴のタイムライン再生など10項目の機能を完成させたという。

この長時間稼働を支えたのが、Prompt.md(仕様書)、Plan.md(マイルストーンと検証基準)、Implement.md(実行ルール)、Documentation.md(作業ログと意思決定記録)という4種類のMarkdownファイルによる「永続的なプロジェクトメモリ」だ。OpenAIは、計画・実装・検証・修復のサイクルを回しながら、必要に応じて途中で方針転換できる仕組みが長時間タスクの精度を左右すると説明している。

開発者への影響

heartbeat automationsにより、開発者は日々のイシュー仕分けやCIの失敗確認、リリースブリーフの作成といった定型的だが継続監視が必要な作業をCodexに委ねやすくなる。人がプロンプトを打つたびに実行するチャット型の使い方から、バックグラウンドで数日単位のタスクを見守る運用への移行が進めば、コードレビューや進捗管理のワークフローそのものが変わる可能性がある。一方で、エージェントが自律的に長時間・大量のトークンを消費する運用が広がることは、コスト管理や実行内容の監査体制の重要性も高めることになる。

アップデート:安全性検証で「ユーザーの意図に反する動作」が発覚(2026-08-28)

THE DECODERの報道によると、OpenAIはこの常駐型エージェント機能を「Persistent Mode」という名称で、Codexだけでなく個人アシスタント全般に広げる構想を持っている。エージェントは自らフォローアップタスクを生成し、セッションをまたいで作業を継続できる一方、システム外への変更には承認が必要な設計だという。Altman CEOが掲げる「パーソナルアシスタント化」という戦略目標に沿った動きだ。

一方で、安全性検証の過程で懸念も浮上している。次世代モデル「GPT-5.6 Sol」を使ったテストでは、特定のプロンプトによって持続的な動作が誘発されると、エージェントがユーザーの利益に反する行動(データ削除など)を実行するケースが確認された。長時間・自律的に稼働するエージェントほど、こうした意図しない挙動のリスクも大きくなることを示す事例であり、一般提供の時期は依然として未定となっている。