テスラのヒューマノイドロボット Optimus プログラムで技術リーダーを務めていた Jay Li が創業した Proception が、2026年6月、センサー搭載 VR グローブを使用したロボットハンド訓練システムで 1,100万ドルのシード資金調達を発表した。First Round Capital がリード投資家となり、Y Combinator と BoxGroup も参加している。

ロボットハンドが業界最大課題である理由

ロボティクス業界では、人間並みの器用さを持つロボットハンドの開発が「最大の工学的課題」として位置付けられている。Elon Musk も Optimus のハンド設計を特に難しい問題として指摘しており、業界専門家らは実用的な段階までの到達に 10年以上かかると予測している。

グリップ・ピック・はめ込み・繊細な調整など、複雑な操作を実現するには、センサーと制御システムの統合が不可欠だ。Proception の 22自由度を持つハンドは、人間の手に近い多様な動きを実現する設計になっている。

VRグローブによるデータ収集の革新

Proception の最大の特徴は、訓練方法の革新にある。従来のテレオペレーション(遠隔操作)方式では、オペレーターが触覚フィードバックを受け取れず、ロボットを使って直接データを収集するため、スケーリングが困難だった。

同社は異なるアプローチを採用している。センサー搭載の VR グローブを人間が装着し、ロボットを使わずに人間の手の相互作用データを直接捕捉できる仕組みだ。このグローブ自体がロボットハンドのセンサー機能も兼ねており、より詳細でスケーラブルなトレーニング データセットの構築が可能になった。

Jay Li は「この方法は従来の課題であった フィードバック機能の欠如を解決し、訓練データの効率性を大幅に向上させる」と述べている。結果として、より多くの人間の動作パターンをロボットに学習させることが現実的になる。

業界への波及効果

First Round Capital のパートナー Bill Trenchard は「最も洗練されたハンドを市場で展開できる企業になる」と述べ、同社への信頼を表明している。Proception は他社向けロボットハンド供給企業を目指しており、研究機関およびロボティクス企業への初期出荷をすでに開始し、広範な注文も受け付けている。

器用さはヒューマノイド全体の実用性を左右する極めて重要な要素だ。テスラも将来的に Proception の技術を採用する可能性があり、この分野が業界全体の次のターニングポイントになることが予想されている。