Google Deepmind は 7 月 30 日、Gemini Robotics ER 2 をリリースしました。前バージョン(ER 1.6)から大幅に進化し、リアルタイムのビデオフィード処理、ツールオーケストレーション、複数ロボット間の協働が可能になりました。

主な進化点

1. リアルタイム推論と進捗トラッキング

ER 2 最大の強みは、連続ビデオフィードから環境変化を認識しながら計画・実行できるようになった点です。

  • 進捗分類精度: 57.4%(前世代を上回る)
  • モーメント検出: 91.3% の精度で「イベント発生のタイミング」を 0.96 秒平均誤差で判定
  • 実行速度: 前世代比 4 倍高速化

従来のロボット AI は「止まって考える」パターンが多かったのに対し、ER 2 は低遅延で ビデオストリーミング処理し、リアルタイムで軌跡修正できます。

2. ツールオーケストレーション

ER 2 は Vision-Language-Action(VLA)モデルと外部 API を「ツール」として扱えるようになりました。これにより:

  • Google Search や他の検索エンジンとの統合
  • 複数の専門特化モデルのチェーン組み立て
  • ロボットの決定ルーチンに人間の判断を挿入

といった柔軟性が実現されます。

3. マルチロボット協働

複数ロボットが共有の意味理解を通じて協力する時代が来ました。ER 2 デモでは:

  • Apptronik Apollo 2(ヒューマノイド)と Franka F3 Duo(協働ロボット)が共に複雑なワークフローを実行
  • 各ロボットが「何をすべきか」を共有知識から判断
  • 分担作業を自律的に調整

安全性の向上

前世代からの改善:

  • 人間接近時の自動停止機能(ER 1.6 比で大幅に強化)
  • 安全指示への従従性向上

開発者はいますぐ試せる

リリース日時点で以下のチャネルから利用可能:

  • Gemini API 経由でプログラマティックアクセス
  • Google AI Studio でビジュアルテスト
  • Gemini Enterprise Agent Platform(非公開プレビュー)

GitHub でサンプルコード公開、Boston Dynamics の Spot ロボットを使った実装例もあります。

業界への意味

ER 2 は単なる「性能向上」ではなく、ロボティクスの AI アーキテクチャそのものをシフトさせています。これまで「タスク固有のプログラム」で動いていたロボットが、「環境を理解し、戦略を立て、道具を活用し、仲間と協力する」という AI エージェント的な振る舞いが可能になりました。

製造業、物流、建設現場など、変動する環境での多ロボット協働が求められる分野では、ER 2 が新しいスタンダードになる可能性があります。