米国とパートナー国との関係が、AI技術覇権をめぐる選択圧力に晒されている。ロイターの報道によれば、米国務省がパートナー国に対し、米国主導のAI枠組みに参加するか、中国の連携に参加するかの選択を実質的に迫るメッセージを草案化しているという。

「Pax Silica」と二極化戦略

米国が構想する新たな枠組みは「Pax Silica」と呼ばれている。AI、半導体、鉱物資源のサプライチェーン確保が主眼だ。すでに24カ国とEUがこの枠組みに参加。米国はこの同盟を通じ、技術供給とデジタルインフラで東側(中国主導)との分断を深刻化させようとしている。

米国の草案では「To be part of everything is to be part of nothing(すべての部分であることは、何の部分でもないことだ)」という表現で、中立的な立場の維持を認めない姿勢を明確にしている。言い換えれば、どちらか一方を選ぶか、どちらとも関係を持つことは許さないという圧力だ。

中国の対抗組織

これに対し中国は、新たに「World Artificial Intelligence Cooperation Organization」という組織を立ち上げた。米国の二者択一戦略に対抗するもので、米国の Pax Silica に参加しない国への出口を用意する形になっている。

例外は資源国

この二極分化の中で、現在カザフスタンのみが両方の枠組みに属している。異例の立場だが、理由は明快だ。同国は半導体産業に不可欠なレアメタルを豊富に保有しており、米国も中国も供給を断つことができない。つまり、戦略的に重要な資源を持つ国だけが、中立的な立場を保つ余地がある。

AI企業への影響

この政治的な分断は、OpenAI や Anthropic などの米国企業が事業展開する際の選択肢を狭める。パートナー国が米国陣営に確定すれば、その国での市場進出や技術供給は保障される一方、中国陣営に流れれば米国企業は実質的に排除される。

逆に中国のオープンソース AI モデルも、米国陣営の国での採用はますます難しくなるだろう。二極化が進むにつれ、企業の技術的な優位性よりも、所属する陣営が事業機会を決定する時代が近づきつつある。