カリフォルニア州、AIによる解雇・監視を規制する法案群に署名、全米最強の労働者保護へ
カリフォルニア州知事ニューサムが、AIのみによる解雇を禁じる「No Robo Bosses Act」など複数の職場AI規制法に署名した。トイレ監視や感情・神経データ収集も制限対象になる。
カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムが、AIによる職場での解雇・監視からの労働者保護を目的とした複数の法案に署名した。柱となるのは、解雇や懲罰の判断を自動化システムのみに委ねることを禁じる「No Robo Bosses Act」(SB 947)で、2027年7月に施行される。
解雇・懲罰に人間の確認を義務化
SB 947は、企業が従業員の解雇や懲罰を判断する際、自動化された意思決定システム(いわゆる「ロボ上司」)のみに依存することを禁止する。人間による最終確認を必須とし、AIが判断に使われる場合は従業員への通知も求められる。ニューサムは過去に類似法案へ拒否権を行使した経緯があり、今回は適用範囲を絞った形で署名に踏み切った。
これに加え、AI導入に伴い労働力の25%以上に影響する大量解雇を実施する場合、60日前の事前通知を義務付けるSB 951も成立した。職場トイレでの監視ツール利用を禁じるAB 1331、従業員の感情状態を推測するAIツールの使用や神経データの収集を制限するAB 1883、医療現場でAIが専門職の臨床判断に置き換わることを防ぎ助言役に限定するAB 1979も、同時期に署名されている。
連邦の及び腰姿勢への対抗
ニューサムは署名にあたり、「AIは機会を拡大するものであるべきで、労働者や家族を犠牲にするものであってはならない」と述べた。トランプ政権が業界の自主規制に依存する姿勢を取る中、カリフォルニア州が独自に規制の網をかける構図であり、労働組合側はこれを「人間中心のアプローチを示す全米のモデル」と評価している。一方、配車サービスの運転手などギグワーカーは今回の規制の対象から外れたままだ。
ニューサムは同時に、州機関に対して「スーパーインテリジェンス」ではなく「人工知能(AI)」という用語を用いるよう義務付ける行政命令にも署名した。AIの呼称そのものを巡る政治的な駆け引きが、規制とあわせて進んでいることを示している。
企業・労働者への影響
人事・労務にAIツールを導入している企業にとっては、解雇・懲罰プロセスに人間の確認ステップを組み込む体制整備が急務になる。従業員側も、AIによる感情分析や神経データ収集への同意が今後どこまで必要になるかが問われる局面に入った。他州が追随する可能性もあり、米国内のAI職場規制のモデルケースとして注目される。