Anthropicが、Nvidiaが出資するクラウド企業Lambdaとの間で6年間・350億ドル規模の計算力調達契約を締結した。Claudeの利用需要拡大に対応するための投資で、テキサス州の新設データセンターから計算資源を確保する計画だ。Anthropicにとっては、この8カ月間で結んだ大型計算力契約の中でも最大級となる。

複雑な三者構造の契約

契約の仕組みは単純な二者間取引ではない。Nvidiaがテキサス州ニュエセス郡でHut 8社が開発するデータセンターの用地を確保し、その施設にLambdaがNvidia製チップを設置・運用する。Lambdaはこの環境をAnthropicに計算資源として提供する仕組みで、Nvidiaが賃借人としてデータセンターを押さえる形になっている点が特徴的だ。契約金額のうち、LambdaがNvidiaに支払う施設利用料の詳細は明らかになっていない。

Hut 8はもともとビットコインマイニング事業者としてデータセンター開発を手掛けてきた企業で、Googleのカスタムチップ「TPU」向けの別施設開発も予定しているという。AI向け計算資源の需要拡大が、暗号資産マイニング企業のデータセンター事業への参入を後押ししている構図が今回の契約にも表れている。

8カ月で4件目の大型計算力調達

Anthropicは過去8カ月間、複数の大型計算力契約を相次いで結んでいる。5月にはSpaceXと月額12億5000万ドル規模、7月にはAMDと50億ドル規模、8月上旬にはAIクラウド企業Voltaと100億ドル規模の契約を締結した。同じく8月には、英国のAIインフラ企業Nscaleとも6年間・450億ドル規模の契約を結んでおり、Nvidia出資先のクラウド企業との大型契約はこれで2件目となる。4月にはAmazon Web Servicesとの間で、今後10年間に5ギガワットの計算能力を確保する100億ドル超の契約も発表済みだ。

Anthropicの年間換算売上高は7月末時点で65億ドルに達しており、収益拡大のペースに合わせて計算資源への投資も加速している。OpenAIをはじめとする競合他社も同様に大規模な計算力調達を進めており、AI企業間での計算資源の争奪戦は激しさを増している。

Claudeの今後の性能を左右する投資

今回確保する計算力は、一般ユーザーが直接触れる新機能ではなく、Anthropicの学習・推論基盤の拡張に充てられる。ただし、モデルの学習速度や提供できるサービス規模は、こうした計算資源の確保量に直結する。Nvidia出資先企業との契約が短期間で2件続いたことは、Nvidiaが自社チップの需要創出とデータセンター投資の両面でAI企業との結びつきを強めている実態も示している。今後発表されるClaudeの次期モデルの性能や提供ペースを占ううえで、こうした計算資源確保の動きは注視すべき材料の一つになる。